思春期を迎えた少女の視線で描いた家族…映画『姉弟の夏の夜』、今月20日公開

2020年08月13日

「普通の家族」だと思われていた夫婦と兄妹がいた。やがて兄妹は成長し、結婚して、それぞれの家庭を設ける。年をとった父は一人、古びた2階建ての家に住み、庭でミニトマトや唐辛子、ブドウを育てながら生活を送っていた。
息子は、ミニワゴン車1台であれこれと商売をするが、うまくはいかず妻はとうとう家を出ていく。彼は、幼い姉弟“オクジュ”と“ドンジュ”を連れ、ソウルの町はずれの狭く古びた半地下の家を出て、父の2階建ての家へと転がりこむ。
一方、娘も病気の父に会いに来るが、すでに離婚を決め、友達の家に居候させてもらっている状況だ。
このように3つに散らばった家族が、ある夏の日、再び1つの家に集まる話を描いた映画『姉弟の夏の夜(原題남매의 여름밤)』。
祖父の家で夏休みを過ごすことになった姉弟と家族の物語、というあらすじ。暖かい光が灯った、古く懐かしい2階建ての家を映したポスター。いずれも静かで温かいタッチで表現されているが、そうでない現実がある。
結婚と離婚、貧しい一人親世帯で育つ子ども、年老いた両親の介護、遺産相続まで、現代社会の「問題」は、特別な出来事ではなく私たちの身近に溢れる。
本作は、貧しいが暖かかった過去への郷愁に頼ったり、無味乾燥な現実を単に表現したりすることだけにとどまらない。それは、これらの出来事を経験して成長する思春期の少女オクジュ(チェ・ジョンウン)の視線と心を繊細に表現しているからだ。
オクジュの心は、出ていった母親とそんな母親を探す弟ドンジュに対しての憎しみや恋しさ、哀れみの気持ちが交錯する。
2階へとあがる階段のドアを閉め、面倒な弟と離れて自分だけの空間が欲しい年頃であり、彼氏や外見に対する悩みを持ち始める頃だが、それを解決できない貧しい父親が恨めしくもある。
しかし祖父の誕生日には、家族で唯一プレゼントを用意したり、祖父が老人ホームに入った間に、家を売ろうとする父親を非難したりする一面もある。
新人女優のチェ・ジョンウンは、早く大人びてしまったが、まだ脆く幼い思春期の少女の心に吹きつける渦を、まるで自分のものであるかのように表現し、その時期を過ぎた観客たちの心に深く入り込む。
オーディションで、「疲れたから寝たい」と発言したドンジュ役の子役俳優パク・スンジュンは、個性的な演技で活気と笑いを作った。父親役のヤン・フンジュと叔母役のパク・ヒョニョンは、楽天的で情が深いが、時に現実的な大人の兄妹を表現し、家族のアンサンブルが完成された。
映画のもう1つの主役は、仁川(インチョン)で見つけられた古屋だ。老夫婦が住んでいた家や台所用品は、子供を育てて送り出した年月をそのまま表現しており、映画の中で再び集まった家族を抱く家として光を放つ。家の隅々に照らし出される日差しが、映画の温度まで高める。
ユン・ダンビ監督の長編映画デビュー作。彼女は同映画で昨年、釜山国際映画祭の「韓国映画監督組合賞」を含む4冠を受賞し、今年1月、ロッテルダム国際映画祭で、「輝く未来賞」を受賞した。
今月20日、韓国で公開される。R指定はない。

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