チョン・スジョン主演映画『エビギュファン』…堂々とした大学生妊婦が父親を捜す
2020年11月05日

映画『エビギュファン(原題:애비규환)』は、90年代生まれの新人監督と映画初出演となるアイドル出身の女優が世に送り出した。要となる監督と女優が、映画に対して未熟なのではとの懸念もあったが、そんな懸念を見事に払拭した。
離婚家庭で育った妊娠5カ月の大学生“トイル”が、15年前に連絡の途絶えた実父と、お腹のこどもの父親である高校生の彼氏“ホフン”を捜しに出る物語で、一難去ってまた一難の旅を描いた。
『エビギュファン』は、チェ・ハナ監督の長編映画デビュー作であり、ガールズグループf(x)のメンバー兼女優のチョン・スジョン(ガールズグループ活動名/クリスタル)の初主演映画だという点で、期待と不安半々で注目を集めた。最近、試写会でベールを脱いだ同作品を見ると、よく練られた構成と安定した演技力を認めざるを得ない。
妊娠5ヶ月のトイルは、ぽっこりとしたお腹を見せながら「婚前妊娠」の事実を両親に告げ、それと同時に「5か年計画」をプレゼンする。チョン・スジョンは、ハキハキとした物言いや、ポーカーフェイスのように見えるが状況ごとに感情が表れる演技で、トイルの堂々とした姿をうまく映し出した。
何よりも映画は、押し引きが秀逸だった。「コメディ映画なのだろうか」と錯覚するほどセンスあるユーモアが目立つ。罵詈雑言で無理やり笑いを引き出すというよりは、意外性を出して自然と観客を笑いに導く。
土曜日(トヨイル)と日曜日(イリョイル)の間に生まれたという由来の名前「トイル」など、おどけた設定が随所に散りばめてあり、映画を見ていると、このような要素が、ある瞬間、それぞれの役割を果たし、決して面白さを加えるためだけでない事がわかる。
「婚前妊娠」を見る大人たちの白い目を、「あんなに法事を行ってきたのに」、「いずれにしろ国が滅びていっているのだろう」というようなトイルの祖父のセリフで空々しく皮肉る。ここに加えて、「人は変わらない」、「顔で結婚すると、腹が立っても顔を見れば怒りがおさまる時がある」など、笑えるけれども悲しいセリフに共感を覚える。
ストーリーの完成度もやはり、複雑なプロットの作品と比較しても劣らない。結婚を控えた妊婦の不安を、母親の離婚という素材ではつらつと描く。離婚のような、辛いが誰でも経験しうる現実を、暖かく慰め、どのように進むべきかの方向性を示す。
劇中、トイルが実父を探す過程は、いつも自分のそばにいた母親の新たな一面を発見させ、そんな母親の離婚という選択は、幸せになるための決断だったという事を感じさせる。このような悟りは、ホフンの失踪で未来への不安が大きくなったトイルが、「100%でなくても大丈夫だ」と前に進む勇気となる。
チェ・ハナ監督は、3日に開かれた懇談会で、「離婚を“失敗した結婚”だと否定的に見る見方があるが、離婚は自分の人生の誤りを認め、直すための選択という点を見せたかった」と演出の意図を説明した。
今月12日、韓国で初公開される。
