映画『私が死んだ日』主演のキム・ヘス、「苦痛も財産、最善に限界をおかない俳優になりたい」
2020年11月06日

30年以上、お茶の間とスクリーンを行き来し演技人生を繰り広げてきた女優のキム・ヘスは、映画『私が死んだ日(原題:내가 죽던 날)』の主人公ヒョンスの苦痛を余すところなく理解したようだった。
映画は人生の崖っぷちに立った刑事ヒョンスが、1枚の遺書を残して離島に姿を消した少女の足取りを追う物語だ。
5日、ソウル・鍾路(チョンノ)区三清(サムチョン)洞のカフェで会った女優キム・ヘスは「ヒョンスと状況は異なるが、私の話のような印象を受けた」と、作品を選んだ背景を明かした。
彼女は前日開かれた記者懇談会でも「映画を選んだ時期に挫折感や心の傷があった」とし、「自然と作品に心惹かれて、演技をしながらたくさん慰められた」と述べた。
これまで刑事はもちろん、犯罪組織のボス、トップスター、妓生などさまざまな役柄をこなしてきたキム・ヘスが心を奪われたヒョンスは、夫の不倫で離婚訴訟をしなければならない過程で腕の麻痺を患い、人生が根こそぎ揺れる経験をする人物。
キム・ヘスは「一番愛して信頼していた対象から裏切られ、自分が生きてきた現実を否定せざるをえない凄惨な状況」だとし、「ヒョンスは結局私でもあり、私たちみんなでもある」とキャラクターを解釈した。
彼女は「いくら明るい人でも、明るい人生だけを生きるわけではない。私も苦痛や悲しみを避けることができない」とし、「日常で経験しうる傷で、人生がすべて崩れたような時期になったりもする」と伝えた。
そんな経験は映画の中のヒョンスにも切々と染みついている。キム・ヘスは「俳優にとっての財産は、自分が感じるすべてのこと」だとし、「私が感じる喜びも財産だが、苦痛も財産だ。キャラクターを描くために動員できるすべてのものを注ぎ込んだ」と説明した。
彼女が生きてきて経験した苦痛は俳優としての財産だけでなく、人生の知恵にもなった。キム・ヘスは「絶望や苦痛を克服することができる特別な方法はない。ただ時間を過ごさなければならない。私はそうだった気がする」と笑みを浮かべた。
彼女は「過ぎ去れば何でもないかもしれないし、その時は見えなくてもそばにいる人が慰めになったりもする」とし、「観客たちも映画を観ながら、そんなふうに感じてくださったら幸いだ」と述べた。
実際に『私が死んだ日』はキム・ヘスに慰めを与えた作品だ。彼女は「あなたが自分自身を救わなければ」、「人生は長い」、「あなたが残った」など、映画に登場するセリフに胸が熱くなる感情が込み上げたという。彼女は「本当に私にとって必要な言葉だった」と率直に打ち明けた。
今は苦痛に耐える方法も、これを俳優の財産として活かす方法も知っているキム・ヘスは、これからは“最善に限界をおかない俳優”になりたいと述べた。
彼女は「俳優になってよかったという思いがあるかは分からないが、ありがたいと思う瞬間はある」とし、「今できる最善を尽くす。最善に限界を置いていない。最善というよりは、忠実な俳優になるというのが正しいと思う」と述べた。
