故キム・ヒョンシクさん30周忌記念アルバム…「世代を超える力」
2020年12月09日

甘く美しい歌声の持ち主、SUPER JUNIORのキュヒョンがレコーディング室で故キム・ヒョンシクさん(1958~1990)の「Like rain, like music」を歌っていた時だった。
「過ぎ去った時間を思い出し、歳月を思い出した。“雨が降り音楽が流れると、僕はあなたを思い出す…”という歌詞を聞いて、僕のことを考えるようになった(笑)」
キム・ヒョンシクさんの30周忌リメイクアルバム『Making Memories』の企画総括制作を務めたソン・ソンミンプロデューサーは、その瞬間の印象をこう描写した。
ソンプロデューサーは、1992年にマネージャー業を始め、ベテラン芸能企画者として経験豊富な人物だ。数多くのスターを育て上げ、彼らと働くことを30年近く生業としてきたが、依然として彼の心の中でキム・ヒョンシクさんは“芸能人”だ。
最近、ソウル城東区(ソンドング)にある制作会社SUPERMAN C&Mのオフィスで会ったソンプロデューサーは、「リメイクアルバムを作る仕事をしながら、この方の楽曲をさらに心に留めるようになった」と述べた。
そして「(アルバムを作ることは)感慨深い。誰かはやるべきことなのに…。『僕がやってもいいのか?』と思ったが、大好きなファンとして、この仕事をやりたかった。この方の楽曲を全世代に知らせたいという気持ちだった」と明かした。
キュヒョンの「Like rain, like music」が先月7日、初めて公開され、DAVICHIが歌った「My Love Beside Me」が同月25日にリリースされ、いずれも好評を得た。オリジナルの「My Love Beside Me」の中のキム・ヒョンシクさんの歌声が、秋の波のように荒々しく心を撫でるとしたら、DAVICHIのバージョンは水滴のように今にも散ってしまいそうな切なさだ。
この他にもThe One、イ・ソクフン(SG WANNABE)、ソンウ・ジョンア、ハリム、キム・ジェファン(元Wanna One)、オク・ジュヒョン(Fin.K.L.)、ペク・アヨン、Ali、ボーカルグループのチャンドクチョルやLetteamorまで計12組の参加歌手が公開され、彼らの楽曲が順次ベールを脱ぐ予定だ。
感性的なボーカルのイ・ソクフン、独創的な楽曲解釈力で有名なソンウ・ジョンア、“ミュージカルのディーバ”オク・ジュヒョン、爽やかなボーカルのキム・ジェファンと清らかなペク・アヨンなど、スタイルも、ジャンルや世代もそれぞれ異なる個性の強い歌手たち。彼らの歌声で聞くキム・ヒョンシクさんの楽曲は一体どういう仕上がりなのか期待が膨らむ。
Duble Kick(二段横蹴り)など実力派作曲チームが各曲のプロデュースに参加し、オリジナルの感性を維持しながらも、現代的な再解釈を試みた。
ソンプロデューサーは、「キム・ヒョンシクさんを新しく知らせたい気持ちで、故人の時代を経験していない後輩歌手たちを組み入れた」とし、「彼らの歌声で再解釈された故人の楽曲が、リスナーたちにも新鮮なイメージでアプローチできると期待している」と説明した。
彼は「キム・ヒョンシクさん持ち前のハスキーボイスが、また違う雰囲気で生まれ変わっても興味深いという思いで、女性アーティストたちの参加が叶った」とも付け加えた。
参加歌手たちが各自どんな楽曲を歌うかはまだ公開されていない。ただ今回のアルバムはキム・ヒョンシクさんが自ら作詞・作曲した楽曲にまず焦点を合わせ、隠れていた名曲も発掘するという計画だ。
ソンプロデューサーは、「キム・ヒョンシクさんのシンガーソングライターぶりをよく知らない人も多い。キム・ヒョンシクという人物に再びスポットを当てたかったので、彼の自作曲を中心に収録しようとした」と述べた。
彼は昨年、キム・ヒョンシクさんの名曲で構成された創作ミュージカル「愛しました(原題:사랑했어요)」に共同プロデューサーとして参加しながら、30周忌に関心を持つようになった。アルバムは昨年から約1年間、企画と制作過程を経た。
しかし、ソンプロデューサーがキム・ヒョンシクさんのファンになったのはずっと昔、マネージャーとして第一歩を踏み出す前から。アルバムタイトル『Making Memories(思い出作り)』は、彼が最も好きなキム・ヒョンシクさんの楽曲でもある。“指切りしながらずっと一緒だと言ったあなたは今どこに…”とキム・ヒョンシクさんが淡々と吐き出す曲調が心の琴線に触れる楽曲。
キム・ヒョンシクさんのラブソングには、“やむを得ず流れていくもの”に対する情緒があるというのが彼の話だ。そのためか雨や風などが多く登場する彼の楽曲は、今なお心を揺さぶる。韓国的な感受性を抱いていながらも、年月を感じさせない。
ソンプロデューサーは「この方は才能や能力に比べて、人々にあまり知られていない気がする。30年前の音楽がこんなにも色あせないのは天才的だ。(若い世代は)きっと新曲だと思う人も多いだろう」と述べた。
彼は「当時を謳歌した既成世代(386世代とも呼ばれ、90年代に年齢が30歳代、80年代に大学に入学、60年代に生まれた世代のこと)たちには青春の記憶と思い出をプレゼントしたいし、若い世代たちには1990年代のロマンを伝えたい」とし、「『Making Memories』が全世代をひとつにすることができるアルバムになることを願っている」と強調した。
