映画『ミナリ』のハン・イェリ…「映画が私に特別な瞬間を与えてくれた」

2021年02月25日

「脚本賞でも監督賞でも作品賞でも、監督に朗報が届けば嬉しい。大変だったぶん、監督に結果として残るものがあればと思うが、受賞できなくても、もう十分に愛されていると思う」
女優ハン・イェリが、アカデミー期待作である映画『ミナリ』を代表して、韓国メディアのインタビューに応じた。リー・アイザック・チョン監督とスティーヴン・ユァンはアメリカに住んでおり、女優ユン・ヨジョンはドラマ撮影のため、カナダに滞在している。
来月3日に韓国での公開を控え、オンラインで会ったハン・イェリの落ち着いた口調には、映画やチョン監督への愛情がにじみ出ていた。
彼女は「サンダンス映画祭で初めて観たとき“本当に美しい映画だな”と思ったが、こんなに愛されるとは思っていなかった」と語った。
「映画の中には、“誰かの幼少時代”や“両親の話”のように、誰もが共感できる部分があり、悪役もいない。そのうえ、感情を強要したり、同情を買うこともなく、“私たちにはこのような話があった”という淡々とした無難な演出が、染み込むように受け入れられたのではないかと思う。誰もが移民を経験するわけではないが、私たちの生活は大きく違わないので、韓国の観客にも十分楽しんでもらえると思う」
韓国系アメリカ人であるチョン監督の経験に基づいて作られた同作品は、初めは英語で書かれていた。ハン・イェリが最初にもらったシナリオは、映画をすべて理解できるほど完璧に翻訳された状態ではなかったという。
ハン・イェリは「映画に対しても、“モニカ”に対しても気になり、早く監督に会わなければと思った」とし、「監督に初めてお会いした時、とても優しい方で、“映画が成功すれば”、“一緒に仕事ができれば”という思いで出演を決心した」と明かした。
ハン・イェリが演じたモニカは、夫“ジェイコブ”(スティーヴン・ユァン)と、幼い2人の子供と共に、アメリカ西部の都市カリフォルニアから、南部アーカンソーの農場に移住する。肥沃な土地を作るという夫についてきたが、大自然が広がるだけの環境で、体の弱い息子デヴィッド(アラン・キム)を育てなければならないモニカは不安を感じる。
「モニカは、“大変だ”とは言うが、絶対に“別れよう”という話はしない。大変だと言うのは、耐えられないほど限界まできているからあなたが掴んでいてという言葉だと思った。最後でも最後だと思わない強い人で、それはジェイコブを愛するがゆえだと思う」
『ミナリ』は、低予算の独立映画で、アメリカ南部の夏の灼熱地獄の中、たった25回の撮影で完成された。
70代のユン・ヨジョンが、「計り知れないほどの苦労をした」と語ったほど、劣悪な状況だったが、同時に俳優らは特別な時間と経験を分かち合ったようだ。
「週末や、撮影を終えた日は、一緒に夕食を作って食べた。温かいご飯を食べながら、大きな慰めとなったし、明日できること、諦めなければならないこと、最善を尽くさなければならないことを話した。そういう時間を共有するのが幸せだった」
ハン・イェリは「監督を愛する多くの方々が、現場に応援に来てくださり、良いエネルギーをたくさんもらった。その方々が、どれほどこの作品を、監督を愛しているのか、パワーを感じることができた」と伝えた。
また、「一緒に過ごした時間のおかげで、私はとても元気になったし、この映画や作業を愛するようになった」、「特別な瞬間がたくさんできた」とも述べた。そして監督に功を譲った。
「のめり込むほどの時間はなかったし、監督は与えられた時間と環境で最善をつくすことを選択する賢い方。他のものを諦めてでも、俳優たちがリラックスして集中できる環境を作ろうと努力してくださった。撮影が終わるたびに、見せてくださる笑顔が印象的で、“今日も私たちに与えられた仕事を無事にやり遂げた”という暖かい、達成感に満ちた笑顔だった」
アカデミーの作品賞、監督賞、脚本賞など主要部門のノミネート発表に先立ち、『ミナリ』は音楽賞と主題歌賞の第1次ノミネーション入りを果たした。エミール・モセリが作曲した主題歌「Rain Song」は、ハン・イェリが自ら歌った。
彼女は、「撮影の合間に聞いていたエミールの音楽は、とても美しく、OSTとして出したらいいなと思っていた」と話した。
「ある日、エミールが“イェリに歌ってほしい曲がある”、“子守歌のように歌ってほしい”と言ってきた。そう言われる前から音楽がとても良いと思っていたし、映画の力になれる仕事なら、全て受けるつもりだった。主題歌賞(第1次ノミネーション)は、全く想像もしていなかったことだったので、不思議で、嬉しく、光栄だが、とても気恥ずかしい」

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