映画『雨とあなたの物語』主演の俳優カン・ハヌル、「恋に落ちる前の段階が与えるときめきを表現した」
2021年04月23日

俳優のカン・ハヌルがときめきに満ちた手紙を書く若者の姿で観客の元を訪れる。
22日、映画『雨とあなたの物語(原題:비와 당신의 이야기)』の公開を前に、リモートを通じて会ったカン・ハヌルは快活だった。非対面でのインタビューがぎこちないようで、「国連の事務総長になった気分だ。ニュースでしか見ないのに」と冗談を言いながら大きく笑った。
『雨とあなたの物語』は手紙のやり取りをする若者男女の物語。大学を二浪中の学生ヨンホ(カン・ハヌル)は、幼い頃の記憶の中にいる友達にあてもなく手紙を送る。母親とともに釜山(プサン)で古い書店を経営するソヒ(チョン・ウヒ)は、病気の姉に届いた手紙に返事をするようになり、2人は手紙をやり取りすることになる。
映画の背景は2003年。液晶画面が横に回転する携帯電話が革新的だった時代だ。スマートフォンやSNSがなかった時代、2人は手紙でアナログな感性を伝える。2人の間にはいくつかのルールがある。質問しないこと、会おうと言わないこと、訪ねて来ないこと。映画の中でそれぞれが書いた手紙を読み上げるカン・ハヌルとチョン・ウヒの声には、青春の初々しさやときめき、切なさが盛り込まれている。
カン・ハヌルは「シナリオを読んだ時、以前ラブレターを書いたことを思い出した」とし、「共感できる部分がたくさんあって、この映画をやろうと思った」と出演背景を明かした。
劇中の手紙は実際にカン・ハヌルが、何度も書いたり消したりを繰り返しながら、自ら書いたものだという。彼は「頻繁ではないが、普段から自分の考えを、言葉よりメモのような文章で伝えることを好む方だ」と伝えた。
手紙を書くことだけでなく、ヨンホはカン・ハヌルとよく似ている。普段は作品の中のキャラクターを活かすために演技に力を入れているが、今回の作品は違ったという。
彼は「いつもはカン・ハヌルより、作品の人物のように見えて欲しいという欲を持って演技をしている。でも今回の作品では、ヨンホがカン・ハヌルのように見えるためにはどうすればいいか、かなり悩んだ。台本自体がそうだったから。監督さんもヨンホとソヒが役者の雰囲気を反映した穏やかな人物であってほしいとおっしゃった。だからヨンホのリアクションや表情が僕に似ているのだと思う」と説明した。
映画はラブストーリーというよりは2人が関係を結んでいく過程を描いている。チョ・ジンモ監督は最近、記者懇談会で「恋を始めてからその恋がどうなっていくのかという話ではなく、誰かが誰かと出会い恋に落ちるまでの過程を描きたかった」と、演出意図を明かした。
カン・ハヌルも「誰かとラブラインがあって、そこに障害物が設定されているような映画ではない」とし、「監督さんとも定義する役柄はやめようという話をたくさんした。生きて行く中でいつも何かに確信があるわけではない。確信する前の段階が与えるときめきがあると思う」と述べた。
ヨンホはソヒと手紙をやり取りしながら慰めを得る。勉強には志のない二浪生のヨンホにとって、一日一日は意味なく流れるだけだが、ソヒに手紙を送り、返事を読み上げながら人生の意味を探していく。
カン・ハヌルは「慰めというのは特別なことではないと思う。僕たちは一言の言葉、まなざしひとつにも癒される。ヨンホはソヒを通して、二浪生として成績を上げることではなく、人が生きていく中で感じるときめきを感じたようだ。手紙を書きながら、自分が良い人間になったようで、温もりを感じたのだと思う」と述べた。
ヨンホのもうひとつの物語は、特別出演だがかなりの出番を占めている二浪生の友人スジン(カン・ソラ)が引っ張っていく。ヨンホのことが好きなスジンはキュートで突拍子もない魅力で、映画の落ち着いた雰囲気に活力を吹き込む。スジンのそばにいるヨンホは、やや世間知らずの純真な姿で観客たちに笑いを提供する。
カン・ハヌルは「観客が2時間ほど映画についていかなければいけないのに、ユーモアやウィットも無く、ただただ穏やかに映るのではないか心配だった」とし、「だからキャラクターに明るく笑う姿や、“ポンコツ”な面も入れた。ヨンホが持つ基本的な枠を妨げずに、観客たちがクスッと笑えるシーンを入れようとした」と述べた。
映画は全体的に穏やかで落ち着いている。それぞれの人物の物語を一人称の視点で解き明かす。そのため俳優たちが実際に対面して呼吸を合わせるシーンより、手紙を読む声を聞きながら演じたシーンが多い。
カン・ハヌルは「他の役者が録音してくれたナレーションを聞きながら、演じるのは新鮮だった」とし、「声だけ聞くと想像するようになるし、表現する部分が自由になったよう気がする。楽しかった」と伝えた。
映画の始まりと終わりには「これは待つことに関する物語だ」というカン・ハヌルの声が登場する。実際、映画は明確な描写やメッセージがない。カン・ハヌルはこのような点が映画の魅力だと述べた。
「個人的にこのような映画に出会えて嬉しかった。僕が観た作品たちは起承転結やメッセージが明確な映画が多かった。もちろんそのような作品が僕に与えるものもきっとある。でも僕は一歩離れて眺める映画も十分に力を与えると思う。確実な映画が僕の考えを支配するとしたら、今回のような作品は、鑑賞しながら頭の中でずっと考えを反芻するようになる。そんな感じが好きだ」
映画『雨とあなたの物語』は今月28日、韓国で公開される。
