ナ・ホンジン監督のホラー映画『ランジョン』、フェイクドキュメンタリー形式で描いたタイのシャーマン一家

2021年07月06日

タイ北東部イサーン地域の田舎町、ここでは木や森、家の中のすべてに魂が宿っていると信じられている。そして“見えない存在”と呼ばれる人々がいる。神を祭る巫女(シャーマン)。タイでは彼女たちを“ランジョン”と呼ぶ。
映画『ランジョン(原題:랑종、英題:The Medium)』は『哭声/コクソン』(2016)のナ・ホンジン監督が執筆したシナリオを、『心霊写真』(2004)や『愛しのゴースト』(2014)で売れっ子監督となったバンジョン・ピサヤタナクーン監督が演出したホラー作品。ナ監督が制作を務め、タイで撮影を行い、グローバルプロジェクトとして話題となったりもした。
映画は次から次へと続く謎と緊迫感のある展開で、スリルを与えたナ監督の『チェイサー』(2008)、『哀しき獣』(2010)、『哭声/コクソン』などとはまったく異なる雰囲気を出した。タイ北東部のイサーン地域の山里、一族の代を継承して先祖の神であるバヤン神を祭ってきた家族を、フェイクドキュメンタリー形式で追う。
カメラは般若神を拒否した姉の代わりに、神の降臨を受けて“ランジョン”になったニム(Sawanee Utoomma)を映す。村人の心身に宿る病気を治すニムを通じて、タイのシャーマニズムを説明することにかなりの尺を使い、リアルさを出した。本格的な話は、ニムが兄の葬儀場で姪のミン(Narilya Gulmongkolpech)の状態が尋常でないことを感じたことから始まる。
観客によっては不快感を覚えかねない場面が続く一方、俳優たちの演技は全般的に安定感がある。特にミンを演じたNarilya Gulmongkolpechは、憑依された状態の奇異な動きを没入感たっぷりに演じた。濃い緑色の湿気を含んだ森と霧、曇った灰色の空の下に吹く風など、タイの自然風景が与える奇異な雰囲気も映画の恐怖感を添える要素だ。
ホラー映画としての驚愕や恐怖を与えるシーンは後半部に集中している。ただ描写が与える恐怖感よりは刺激的なシーンが続き、思わず目を背けたくなる時もある。“衝撃”という目標を達成するためのシーンが絶えず押し寄せてくるため、その奇異さを味わうほどの余韻や予想外の展開が届ける面白さはあまりない。
『ランジョン』は今月14日に韓国で公開。上映時間は131分。青少年観覧不可。

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