ファン・ジョンミン、14日公開の映画『人質』で“ファン・ジョンミン”として極限の脱出劇を演じる

2021年08月11日

ファン・ジョンミンのワンマンショーで終わるのではないかと懸念されていた映画『人質(原題:인질)』は、個性あふれる拉致犯たちや警察たちの追撃を適切に活用し、緊張感あるアクション映画として確立した。
映画はある日未明、証拠も目撃者もなく拉致された“トップスター、ファン・ジョンミン”が命懸けの脱出を敢行する物語を扱う。ファン・ジョンミンが自身の名をかけたキャラクター、“ファン・ジョンミン”を演じる。
コメディ映画で俳優が実際の自分を演じることはしばしばあるが、『人質』は厳然たるアクションスリラー。作品のリアルさを高めようとする試みだが、現実と映画に隔たりがあるため、むしろ観客たちの没入感を散らす“諸刃の剣”にもなりうる。
幸いにもファン・ジョンミンをはじめとした俳優たちの演技力がこのような懸念を払拭する。ファン·ジョンミンは映画『ベテラン』、『工作 黒金星と呼ばれた男』、『ただ悪から救ってください(原題:다만 악에서 구하소서)』などで築いてきた演技の才能を凝縮して披露する。力を入れて硬直した体や緊張で赤くなる顔をうまく表現した彼の演技は、「手足を縛られたまま上半身だけで感情の幅を表現できる俳優を探しているうちに、ファン·ジョンミンをキャスティングすることになった」というピル・カムソン監督の期待に十分応えている。
映画をリードしていくファン·ジョンミンの力は圧倒的だが、これを支えるバイプレーヤーたちの多彩な個性も目を引く。ファン·ジョンミンを拉致した犯人たちは体系化された組職というよりも、リーダーのチェ·ギワン(キム・ジェボム)の命令に振り回される。チェ·ギワンは無表情であくどい暴行を平気で犯す人物で、ナンバー2のヨム・ドンフン(リュ·ギョンス)はどこに地雷があるのか分からないほど血の気の多い人物。ここに精神的に足りないように見えるヨンテ(チョン·ジェウォン)は、「ファン・ジョンミンのファン」だと言いながら、突拍子もない要求をする。
ファン·ジョンミンが捕らえられている場所の他にも、金を引き出すためにファン·ジョンミンの家を探すチェ・ギワン、そんな彼を犯人だと目をつけ、追いかける警察たちの動きを追いながら、やや単調になりかねない映画に変奏を与える。路地を駆け巡るカーチェイスは、縛られているファン·ジョンミンの代わりに見事な見どころを作り出し、サイコパスに見えるチェ·ギワンの予想外の行動は緊張感を出す。
何より映画は、大衆に広く知られたファン·ジョンミンのイメージや名ゼリフを賢く活用している。ファン·ジョンミンがファン·ジョンミンを演じる映画という設定を理解させようという前置きはせず、彼を代表するコメント“お膳立て”に状況を詰め込む。(“お膳立てコメント”/彼が『ユア・マイ・サンシャイン』で2005年青龍映画賞の男優主演賞を受賞した際に、「自分は一介の下っ端俳優。60人あまりのスタッフが準備してくれたお膳を、自分はただ美味しく食べればいいだけなので」と制作陣に花を持たせたコメント)映画の途中に登場する「トロワ~(かかってこい)」、「ヘイブラザ~」などの名ゼリフ(『新しき世界』より)は、適材適所で観客の笑いを誘い緊張を緩める。
ファン·ジョンミンを打ち出したワントップ映画という点で、彼があらゆる危機を乗り越えるという展開が目に見えているが、その過程で楽しめる面白さと緊張感がある。ただ人質という素材の特性上、一方的な暴行が終始一貫して加えられるという点は、観客によっては不快感を覚えるかもしれない。女性キャラクターである拉致犯のセッピョル(イ·ホジョン)はヨム·ドンフンが暴走するタイミングで、もう一人の人質パン·ソヨン(イ·ユミ)はファン·ジョンミンのヒーロー的な面貌を浮き彫りにするために消耗されて、その役割が終わってしまうのが残念な点だ。
『人質』は今月18日に韓国で公開され、上映時間は94分、年齢制限は15歳以上観覧可。

前の記事 エンタメ情報一覧へ 次の記事