バンドNELL、「音楽の力が“コロナブルー”の治療薬となった」
2021年09月02日

韓国を代表する「感性主義バンド」と呼ばれるNELL(メンバー:キム・ジョンワン、イ・ジェギョン、イ・ジョンフン、チョン・ジェウォン)の音楽には、深い悲しみから生まれる力がある。
憂鬱や諦め、恋人関係の不安などを奥深くまで掘り下げる彼らの音楽に、多くの人々が逆説的な慰めを受けると言う。これは結局、音楽という媒体が持つ力でもある。
いつのまにか結成22年を迎えたNELLが、いまだに力説することはやはり“音楽の力”だ。2日、9thフルアルバム「Moments in between」を引っさげカムバックするNELLは最近、オンラインで行われたインタビューで、「僕たちにとって音楽とは何なのか、たくさん考えさせてくれたアルバム」、「(作業を通して)音楽が持つ力をものすごく感じた」と述べた。
「Moments in between」は、2019年10月に発表された8thフルアルバム「COLORS IN BLACK」以来、約2年ぶりにリリースされるフルアルバムだ。
ライブが相次ぎ中止となるコロナ禍で、4人のメンバーが1年半〜2年近く、スタジオでひたすら作業に没頭し作り上げた作品。ドラマーのチョン・ジェウォンは「とても集中した時間だった」と伝えた。
ボーカルのキム・ジョンワンは「僕たちがこの音楽で“コロナブルー”克服の力を得たように、どんな形にせよ僕たちの音楽を聴いてくださる方々の人生の力になれたら嬉しい」と語った。
「このアルバムがなかったらバンドとして、それなりに大きなスランプが一度は来たかもしれない。不本意ながらも1年半ほど、何もせずに休んでいる状態だったので。幸いなことに、アルバム作業によって他のことを考える余裕がなかった。僕たちとっては、治療薬のような役割をしてくれたと思う。お聴きになる方にも、10分の1でいいからそのような感じを与えることができたらという思いだ」(キム・ジョンワン)
「僕たちは長い間バンド活動をしてきたが、フルアルバムを出し続けることができるということは、本当に嬉しいことだと思っている。最近の市場に合わせて短いシングルを出すこともできただろうが、もう一度、気を引き締めてストーリーを盛り込んだフルアルバムを作ることができたということに満足感を抱いている」(ギタリスト/イ・ジェギョン)
「Moments in between」で目を引く点は、10曲全曲が有機的に構成され、1つの物語として流れていく点だ。NELLの全曲を作詞・作曲しているキム・ジョンワンは「作詞というよりはシナリオ、あるいはセリフを書くイメージで作業した」と述べた。
テーマは愛の物語だ。衝突事故に遭ったかのような衝撃を受けて相手にのめり込み、感情の波に揺さぶられながら結局、思い出として残っていく過程を扱ったが、ロマンスがテーマではない。むしろ「NELL Down(pull down/“引きさげる”をNELLとかけた造語)」する懐疑心が視線に込められている。
「関係の始まりから、人と人が付き合う時、適切な時期と状況がどれほど重要なのかということをたくさん考えた。適切なタイミングで出会ったなら、良い結末を迎えることができるだろうが、そうでないなら、お互いに心惹かれる部分が大きくても過程と結末は不安だったり不幸になるだろう。それが、タイミングと状況によって決められるというのが苦しく、虚しいという思いからアルバムのメインコンセプトが始まった」(キム・ジョンワン)
NELLは、独特の鋭い感受性を持ちながらも、常に新しいサウンドに挑戦し、NELLならではの音楽世界を作ってきた。初期作が鋭い崖のような憂鬱さを抱いていたとするなら、最近の作品では、圧倒されるような宇宙的なサウンド、多彩なスタイルを感じることができる。
特にニューアルバムでは、洗練された細工が散りばめられている。キム・ジョンワンは「(前作)“COLORS IN BLACK”は、サウンドのベースをロック的要素で固めたとするなら、今回のアルバムは、ポップの傾向が強いと思う。アンビエント・ポップなどからも影響を受けた」と述べた。
タイトル曲は「U-Hee」と「Beautiful Jeopardy」の2曲。プログラミングされた音とバンドサウンドの調和に力を注いだ「U-Hee」は「以前から僕たちが絶えず追求し、発展させてきたサウンドを持つ楽曲」だとキム・ジョンワンは伝えた。
逆に「Beautiful Jeopardy」は、様々なアコースティック楽器の編成が特徴だ。バンドサウンドやストリングス、ブラス、パーカッションが幾重にも重なり、後半部の印象的な響きを作り出す。3分以内の短い曲がトレンドである最近の音楽界で、6分30秒の長さの歌をタイトル曲にしたのは、時代に逆行しているようにも見える。
キム・ジョンワンは「見方によっては、一般的だと考えているタイトル曲の基準から、かけ離れている。しかし、世の中の基準に合わせることより、現時点ではミュージシャンが追求する方向を提示していくことの方が重要だと思った」と説明した。
彼は「その時々に作りたい、表現したい音楽をしようというのが、いつも持ち続けてきた僕たちの信念」とし「“Beautiful Jeopardy”と“ U-Hee”で披露したそれぞれのサウンドを1つのアルバムに収めた時、最大限、違和感がないようにしながらも“NELLらしさ”が聴こえるようにするのが目標」だと付け加えた。
近所の友達だった同い年のメンバー4人がNELLを結成したのは1999年。アンダーグラウンドから始めた彼らは、いつのまにか影響力のある代表的なメジャーバンドに成長した。20年にも渡る長い活動期間に、メンバーの交代が一度もなかった珍しいバンドでもある。
ベーシストのイ・ジョンフンは、今後さらに長く活動するために何が必要かという質問に「健康診断を定期的に...」と笑いながら「最も重要なのは情熱を維持すること」だと強調した。
「誰か1人に問題が起きたら、アドバイスや話し合いをして助け、そうやって4人で再び一緒に情熱を取り戻してきた。これからもそれをやり続けたら、もっと良い音楽をやっていくことができるのではないだろうか」(イ・ジョンフン)
キム・ジョンワンは「100%満足するアルバムを作ることがミュージシャンにとっての究極的な目標ではないだろうか」とし「いつも“改善点”がある。もちろん、それ(100%満足すること)はほとんど不可能に近いが、今回のアルバムもその目標に向かっていく過程にいる」と述べた。
