映画『ベイビー・ブローカー』出演のIU(イ・ジウン)、カンヌで語る…「悪口を言う演技はどんなシーンよりも緊張」

2022年05月30日

「不思議なことに、母親役に挑戦したいと思っていた頃、『ベイビー・ブローカー』の出演オファーを受けた。だから、本当にうまくやり遂げたいという思いが大きかった」
「第75回カンヌ国際映画祭」のコンペティション部門の進出作『ベイビー・ブローカー』で主演を務めたイ・ジウン(歌手のIU)は、フランス・カンヌで開かれた公式記者会見でこのように明かした。
彼女は『ベイビー・ブローカー』で生まれたばかりの息子をやむを得ない事情で、教会のベイビーボックス(赤ちゃんポスト)の前に捨てる若い母親“ソヨン”を演じた。
イ・ジウンは、韓国の取材陣と行ったインタビューでも、「次の作品では、どんな役をするべきかと悩んでいた時、ふと、母親役であればいいなと思った」とし、「出産という大変ですごいことを経験した人を演じてみたかったからだ」と説明した。
しかしソヨンは、普通の20代女性たちと完全に異なる人生を歩み、そして行き詰まるシングルマザー。そのため、演じにくいキャラクターだった。
イ・ジウンは「まったく知らないタイプの人間だと思った」とし、「その人が背負った重荷と自己嫌悪がどれほどなのか見当もつかなかった」と打ち明けた。
彼女は「私が経験したことのない母親役、しかもシングルマザーの役なので、演技をやり遂げるのに心配とプレッシャーがあったのは事実。だから、シングルマザーがどんな社会的視線に耐えながら子どもを育てているのか、インタビューのようなものを一生懸命、検索したりした。シングルマザーの問題について、あまりにも知らなかった自分を反省し、関心を持つようになった」と述べた。
是枝裕和監督はイ・ジウンが主演したドラマを見て、彼女に出演のオファーをしたという。監督は最近のインタビューで、イ・ジウンについて「正解のような完璧な演技を見せてくれた」と絶賛したりもした。
イ・ジウンは「(是枝監督が見た)ドラマで共演したイ・ソンギュン先輩と食事をしていたところ、たまたま他のテーブルに座っていらっしゃる監督をお見掛けしたことがある」とし、「それから1年後に作品のオファーを受け、とても不思議だった」と振り返った。
さらに「監督がドラマを気に入ってくださったこともあるが、作品の中の役柄と『ベイビー・ブローカー』のソヨンの共通点を発見したようだ。2人とも険しい過去があり、世の中に好意的でなく厭世的な人」と付け加えた。
しかし、ドラマでの役が、世の中を“耐える”人物だとするなら、ソヨンは感情をすぐに発散しなければならない人物。自分の息子をめぐって交渉する若い夫婦を激しく追い詰め、暴言を吐いたりもする。
イ・ジウンは「監督が書いた脚本には“ダサい”くらいしか悪口という悪口はなかったので、しっくりこなかった」とし、「監督に“私が悪口を考えてもいいか”と聞いて、悪口を補った」と笑った。
さらに「ソヨンが明らかに怒っているのに、“ダサい”程度で終わらせる感じではなかった(笑)結局、私が書き加えて俳優たちにシェアした。これほど強い悪口は初めてだったので、どんな感情シーンよりも緊張して、練習もたくさんした。幸いにも1、2回で『OK』サインが出た」と述べた。
中学生だった2008年に歌手としてデビューし、歌謡界で類まれなる存在感を発揮したイ・ジウンは、2011年、ドラマ「ドリームハイ」で女優デビューした。その後、「最高です! スンシンちゃん」や「プロデューサー」など様々なドラマに出演し、主演女優の座を不動のものにした。
彼女がカンヌ映画祭に出席するのは今回が初めてで、「非常に戸惑いながらも、不思議でとても面白い経験だった」と感想を明かした。
初めて上映された『ベイビー・ブローカー』の評価を問うと、「とても緊張して鑑賞はできなかった」と笑った。
そして「私が感じるには、価値観が全然違う人々が同行しながら、お互いに連帯感を持って共生する過程を探す映画だと思う。まるで小さな社会のようでもある。私たちが生きるということは、全てそういうことなのだ。考えが正反対であっても、ともに調和して暮らし、連帯するのがまさに人間なのではないだろうか」と述べた。

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