No Brain、米で制作の英語アルバム『BIG MISTAKE』を発売…「今度は朝鮮パンクではなく“留学パンク”」

2022年06月08日

「アメリカの作業室でプロデューサーが『これで練習していろ』とアコースティックギターを1本くれた。ボブ・ディランが実際に使っていたアコースティックギターだった」(チョン・ミンジュン)
「そのプロデューサーは、電話でロックバンド、ソーシャル・ディストーション(Social Distortion)の『Bad Luck』の著作権について話していた。僕が幼い頃、憧れていた人たちと普通に連絡しているのを見て、ここはアメリカなんだなと思った」(イ・ソンウ)
韓国を代表するパンクロックバンドNo Brainは、8日にスペシャルミニアルバムを発売する。全曲、英語の歌詞で作られており、ロックの本場であるアメリカで制作した。“素晴らしい”サウンドを具現化した新譜のタイトルは、『BIG MISTAKE』だ。
No Brainは7日、インタビューで「今度は朝鮮パンクではなく、“留学パンク”と考えてほしい」と笑いながら新譜を紹介した。
ボーカルのイ・ソンウは「英語で歌を出したから、世界を席巻したいというわけではないが、多くの人が聴いてくだされば幸いだ」とし、「楽曲がとても良かったので、こういう曲もNo Brainの歴史に残したいと思った」と満足そうに語った。
“朝鮮パンク”が代名詞である彼らが突然、留学作品を出したきっかけは9年前にさかのぼる。No Brainは2013年にカナダで公演を行った。その際、マドンナやラモーンズなどを発掘した伝説的な音楽プロデューサー、シーモア・ステインの目に留まったのだ。
これがきっかけで、当時ワーナー・ミュージック所属だった有名プロデューサー、ジュリアン・レイモンドが彼らの音盤をプロデュースすることになった。翌年の2014年には、アメリカ・ロサンゼルスとナッシュビルを行き来しながら楽しく作業した。
しかし、ジュリアン・レイモンドが会社を移籍。No Brainが作業した音盤の権利問題がこじれ、解決するまでに8年という時間がかかった。
ギタリストのチョン・ミンジュンは、「歴史的に言えば(ロック音楽は)アメリカとイギリス側から始まった」とし、「そのためか、あちらのエンジニアたちは、目をつぶっていても目的に忠実なサウンドを、動物的な感覚で引き出すことができる」と振り返った。
そうしながらも「サウンドには自信がある」とし、「ロックバンドをしようとする若い有望株たちに、このアルバムが大きな滋養になればと思う」と力説した。
イ・ソンウもやはり、「今や韓国も、色々な音をうまく出す技術はあるが、ノウハウが必要な強いドラムの音、これだけは今まで、満足できなかった」とし、「アメリカでミキシングの前に聴いてみたら、すでに完成されたアルバムのようだった」と述べた。
アルバムにはタイトル曲「Uh Huh」をはじめ、「Take a Long」、「I Will Fight」、「Better Off Dead」、「Bad Luck」まで計5曲が収録された。
2ndトラックの「Take a Long」は、オーストラリアのバンド、エンジェルズ(The Angels)、5thトラックの「Bad Luck」は、ソーシャル・ディストーションの楽曲をそれぞれリメイクしたものだ。
サウンドには自信があるという彼らの言葉のように、このアルバムでは、楽曲を構成する様々な楽器が、それぞれの力を最大限に発揮している。バンド音楽は現在、2000年代序盤かのように、大衆の支持を得られずにいるが、彼らはこれをものともせず、「これが正統ロック」だと言わんばかりにリスナーに音盤を差し出すようだった。
今回のアルバムは、アメリカの有名レコーディング室「Blackbird Studio」とデビッド・ボウイが作業していた「EastWest Studio」で作業が行われた。ミキシングエンジニアにはグリーンデイ(Green Day)の名盤『American Idiot』を担当したクリス・ロード・アルジが参加した。
ベーシストのチョン・ウヨンは「移民を準備するほど、アメリカの活動に対する期待が大きかった」とし、「“大舞台”で活動しようと英語も習ったが、書類上の問題で結果的に(移民は)実現しなかった」と振り返った。
楽器サウンドは見事だったが、イ・ソンウが英語で全曲を歌うのはまた別の問題だったという。彼は渡米前の数カ月間、同僚アーティストBig Phonyから英語を習った。
イ・ソンウは「LとRの発音がうまくいかず、ずっと練習した」とし、「僕が少し慶尚道(キョンサンド)の発音が混ざっていて、苦労した」と冗談を飛ばした。
さらに「何と歌っているのか伝わらなくても、パンパンとしたサウンドや、楽曲の感じから、メッセージを十分に受け取ることができると思う」とし、「いいスピーカーで一人、静かに聴いてほしい」と付け加えた。
No Brainは1996年の結成以来26年間、第一世代を代表するインディーズバンドとして活躍した。ステージで爆発的なエネルギーをぶちまけていた血気あふれる青年たちは、いつの間にか40代になった。
四半世紀を越える歳月の間に人気と名声を得たが、「以前のような音楽じゃない。柔らかくなった」という昔のファンの不満と、音楽的な変化に対する渇望の間で、苦悩も繰り返した。
これについて問うとイ・ソンウは、「この2つの音楽的な方向性が、闘い続けている」とし、「本来やっていたことも好きだし、新しいことを受け入れるのもいいと思う。それでも、以前やっていたことだけを続けるわけにはいかない」と明かした。
それとともに「この2つの考えが内部でぶつかりながらも、新しい結果を作り出そうと努力している」と述べた。
チョン・ミンジュンは「いずれにしても、番組に出るためには審議を考えなければならず、営業的な部分も考慮しなければならない。そのため、音楽的力量をしばられていた部分もなくはなかった」とし、「今回のアメリカのアルバムは、準備過程でプロデューサーが『君たちの好きにしろ』と言ってくれたので、ひたすら音楽にだけ集中することができた」と紹介した。
さらに「そのため、昔のNo Brainのファンも、今回のアルバムで、これまでの感情をすべて解きほぐすことができるだろう」と自信を持って述べた。
インタビューを締めくくろうとした瞬間、このように立派な結果物の名前が、なぜ『BIG MISTAKE』なのかふと気になった。急いで最後の質問をひとつ追加すると、独特の豪快な答えが返ってきた。
イ・サンウは「アルバム名を『テコンドー・ロック』にしようかとも悩んだが、2014年からあまりにも多くの出来事があったので、いっそ『BIG MISTAKE』がいいという話になった。失敗なくしてアメリカで成功していたら、このアルバムのタイトルは『American Revenge』だったのではないだろうか」と笑った。

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