映画『ベイビー・ブローカー』主演のソン・ガンホ、「いい作品で観客とコミュニケーションを取るのが目標」

2022年06月09日

「映画祭で受賞するために演技する俳優は、いないと思う。俳優として光栄で、嬉しいことだが、受賞前後で変わるものは、何一つない。映画で一番重要な作業は、観客とのコミュニケーションだ。常にいい作品を通して、多くの観客とコミュニケーションをとることが、唯一の目標」
韓国で映画『ベイビー・ブローカー』が公開された8日、オンラインで会ったソン・ガンホは、声が少しかれていた。数日前、ひどい風邪を引いたという。しかし、先月、カンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞した興奮は、依然として冷めやらぬようだった。彼はカンヌから帰国した後、「感動をゆっくり、じっくり味わいたい」と話していた。
ソン・ガンホは「最高の映画祭で『ベイビー・ブローカー』チームと並んで座り、受賞できたこと自体が、忘れられない瞬間だった」と語った。 「宝石のような俳優たち、最高のスタッフ、是枝裕和監督との縁が、俳優として受賞した価値よりもっと大きい。偉大な芸術家たちと一緒に作業したことが、私にとって大きな意味として残ると思う」
ソン・ガンホは7回カンヌの舞台を踏み、『ベイビー・ブローカー』で最優秀男優賞を受賞。先だって彼が出演した招待作も全て、トロフィーを手にした。
2007年に映画『シークレット・サンシャイン』で女優チョン・ドヨンが主演女優賞を、2009年に『渇き』でパク・チャヌク監督が審査員賞を受賞。2019年の『パラサイト 半地下の家族』(以下、『パラサイト』)は、ポン・ジュノ監督に最高賞であるパルム・ドールが与えられた。彼は「是枝裕和、イ・チャンドン、パク・チャヌク、ポン・ジュノという最高の作家であり監督が出した成果だ」とし「私は運よく一緒にいただけ」だとした。
『ベイビー・ブローカー』を演出した是枝監督に初めて会ったのは、2007年の釜山国際映画祭だった。ソン・ガンホは以前から、是枝監督の作品に感銘を受けていた。そのため、短い出会いだったが、最も記憶に残ったという。それから10年後、釜山国際映画祭で是枝監督に再会し、彼の提案で『ベイビー・ブローカー』が始まった。
ソン・ガンホは、撮影現場の是枝監督を「徳将」だと表現した。「俳優とスタッフの言葉に耳を傾け、積極的にコミュニケーションをとってくださる。監督は友達のようで、作業は楽しく幸せだった。人格的な深さや哲学で武装した“徳将”だと思う」
続いて世界の舞台で認められた監督がオファーしてきた理由を「(自分が)ハンサムではないから」だと謙遜した。彼は「映画は、私たちの人生や自分自身、隣人を表現し、研究する作業だ」とし「監督たちは、ソン・ガンホのような平凡な顔の俳優を通して語りたいのだと思う」と話した。
ソン・ガンホは、『グエムル -漢江の怪物-』(2006)から『パラサイト』まで、計4本の1000万映画に出演。彼が主演を務めた作品の観客動員数を合わせると、1億人をはるかに超える。しかし、作品選択の基準は依然として興行ではなく新しさだとした。
「素材の新鮮さというよりは、形式や内容、演技を通じて新しさを伝えることができればと思っている。安全な方法を選ばず、挑戦したいし、新しさを創造したい。それが最も大きい選択の方向性だ」
『ベイビー・ブローカー』は、『パラサイト』以来、3年ぶりのソン・ガンホのスクリーン復帰作となる。コロナのパンデミックの影響だ。
8月には彼が主演を務めた映画『非常宣言 (原題:비상선언)』が公開され、すでに完成している映画『One Win』も公開日確定を待っている。最近では、キム・ジウン監督の『クモの巣 (原題:거미집)』の撮影が終わった。
ソン・ガンホは、NetflixのようなOTT (オンライン動画サービス) プラットフォームの作品にも参加したいと話した。「(劇場) 映画とOTTを分けるのは意味がないと思う。いい作品は、どんなチャンネルを通してでも、紹介されること自体が重要だから。機会があれば、いくらでもOTT作品をやりたいと思っている」

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