映画『非常宣言』のハン・ジェリム監督、「韓国社会の災難を見守りながら演出を決心した」
2022年06月22日

「10年ほど前に依頼が来た。設定や企画は良かったが、話をどのように解けばいいのかピンと来なかった。10年という月日が流れながら、不幸にも韓国社会では様々な災難があった。その災難に胸を痛め、見守りながら、この作品をしなければならないと思った」
ハン・ジェリム監督は最近、ソウル・ウェスティン朝鮮ホテルで開かれた映画『非常宣言(原題:비상선언)』の制作報告会に出席し、このように述べた。彼は「特定の災難や事件を描写してはいない。災難を克服する瞬間や、災難に負けたつらさを描いてみようと努力した」と説明した。
8月に韓国で公開される『非常宣言』は、テロに直面したハワイ行きの航空機が、無条件着陸をしなければならない状況の中、その災難に立ち向かう人々の話を盛り込んだ。映画は、制作段階から華やかなキャスティングで注目を集めた。
ソン・ガンホが、テロの予告映像をもらい、容疑者を追跡するベテラン刑事チーム長の“インホ”役を務めた。仕事のせいで妻とハワイ旅行に行くことができなかった彼は、事件を解決しながら、機内にいる妻の命も守らなければならないという二重の義務で孤軍奮闘する。
チョン・ドヨンは、市民を守るための最適な方案は何かと思案する国土部長官の“スクヒ”役を務めた。青瓦台の危機管理センターの室長として現実的な判断を下さなければならない“テス”はパク・ヘジュンが演じた。
機内で、搭乗者が原因不明の死をとげる事件が発生し、物語が本格的に展開されていく。この過程で、ともに搭乗した人物のエピソードや感情がスクリーンに描写される。
イ・ビョンホンが演じた“ジェヒョク”は飛行恐怖症にも関わらず、娘の病気の治療のために飛行機に乗るも、このような災難に遭い、絶望と混乱の中で状況を解決しようとする人物だ。イム・シワン(ZE:A)は、行き先を決めないまま仁川(インチョン)空港を徘徊し、事故飛行機に搭乗する謎の人物“ジンソク”を演じた。キム・ナムギルが副機長の“ヒョンス”、キム・ソジンは機内事務長の“ヒジン”役を務めた。
ソン・ガンホは「私たちが暮らしながら顔見知りではあるが、普段は特別な感情を抱かない家族や隣人、共同体に対する思いを、ジャンルを越えて洗練された大人っぽい感覚で表現した作品」だとし、「刑事として愛する家族を救わなければならないという切実さで演じた」と伝えた。
イ・ビョンホンは「災難映画だからと言って映像美やスケールの大きさだけがあるのではなく、観客を考えさせるストーリーがある」と紹介した。チョン・ドヨンは「様々な災難を経験し、傷ついた人々への慰めとなる作品であってほしい」と述べた。
『恋愛の目的』(2006)で演出デビューしたハン・ジェリム監督は、『観相師-かんそうし-』(2013)や『ザ・キング』(2016)を次々とヒットさせた。『非常宣言』は昨年、カンヌ映画祭の非コンペティション部門に招待され、ジャンル映画として、その作品性が認められた。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックの時期に撮影を開始した同映画は、完成してからも公開を数回、延期した。ハン監督は「災難について悩みながら撮影に入ったが、新型コロナウイルス感染症によって世界の災難を見ながら撮影することになった」とし、「お互いに努力し犠牲になりながらも、より良い世の中ができたようだ。そんな面が盛り込まれている映画」だと述べた。
ハン監督は、映画が新派(お涙頂戴)に流れるのではないかという懸念について、「俳優たちのセリフや状況を通じて観客が何らかの感情を抱くなら、新派ではなく共感だと思う。そんな部分を差別化した」と答えた。
ソン・ガンホは前日まで、カンヌ最優秀男優賞受賞作『ベイビー・ブローカー』の舞台あいさつに出ており、この日はまた別の新作映画で観客に会った。彼は「今後『非常宣言』だけでなく、多様で豊かな底力を感じられる韓国映画がたくさん紹介されるはずだが、人生の糧となることを願う」と述べた。
