韓国現代史をモチーフにした映画『Hunt』 、来月韓国で公開
2022年07月28日

国家安全企画部13年目のベテラン海外チーム次長“パク・ピョンホ” (イ・ジョンジェ)は、比較的冷徹な人物だ。
国内チーム次長の“キム・ジョンド” (チョン・ウソン)は、元軍人なだけあって、躊躇がない。映画『Hunt (原題:헌트)』の主人公であり、ライバルである2人は、キャリアや本性以外は、完全に対照的な人物だ。彼らを善悪で区分することはできず、観客に抱かせる疑念の程度も同じくらいだ。
映画は1983年、大統領のワシントン訪問から始まる。それぞれチーム員を率いて作戦に参加した2人は、この時から対立する。工作がことごとく失敗すると、新たに就任した安全企画部長は、組織内部にいるスパイを捜し出すよう指示。パク・ピョンホとキム・ジョンドは、お互いを“ドンリム”と呼ばれるスパイだと疑い合う。
2人は形式的な証拠集めをするが、これまでの韓国情報機関が行った様々な工作からも分かるように、結論は決まっている。重火器や鉄パイプを用いた彼らの権力闘争は、暴力組織を彷彿させる。誰もが狩猟犬であると同時に、獲物であるお互いの忠誠心競争は、文字通り「ドッグファイト」の様相を呈している。
映画は、パク・ピョンホとキム・ジョンド、2人ともがスパイに見えるような状況を描く。
彼らのそばには、軍納業者 (軍に必要な物資などを供給する認可を受けた業者)や在日本朝鮮人総聯合会出身の留学生という怪しい人物がいる。様々な書類など、客観的な資料も提示しながら、証拠を積み上げていくが、観客は、誰が本当のスパイなのかを推理するのに、これらのものがあまり意味をなさないことを序盤に悟るだろう。予想通り、結論はそれほど単純ではないからだ。
2人の心理戦と様々な攻勢を仕掛けるアクションシーンが交差し、そのせいか映画の展開はかなり早く感じられる。ソウルとワシントン、東京、バンコクを舞台にした銃撃戦とカーチェイス、大規模な爆破シーンは圧巻だ。
映画は、スパイアクションを標榜するが、韓国現代史の様々な事件をモチーフにしている。東ベルリン事件を想起させるターゲット“ドンリム”もそうだ。現代史がベースとなった映画の中の事件は、単発的なエピソードにとどまらず、人物の動機や結末に至るまでの重要な役割を果たす。ラングーン爆破テロ事件やMiG機亡命事件が発生した1983年を主な舞台にし、光州事件が起きた1980年が垣間見える設定は、意図されたものだ。革命、独裁、国家暴力をめぐるメッセージも、現代史が素材になっているため、説得力がある。
イ・ジョンジェの演出デビュー作であるこの映画には、俳優ファン・ジョンミン、イ・ソンミン、ユ・ジェミョン、チョ・ウジン、キム・ナムギル、チュ・ジフンらがカメオ出演しており、さらなる面白さを加えた。
イ・ジョンジェは27日、試写会のあとに行われた懇談会で「俳優仲間から“手伝いたい”という連絡が来て、親交のあるたくさんの方々が参加することになった」とし「どうすれば俳優が引き立つのか悩んだ」と話した。
『Hunt』は、8月10日に韓国で公開される。上映時間は125分でR15指定だ。
