カンヌ招待作の『非常宣言』&『Hunt』、夏の韓国映画レースの2ラウンドに合流
2022年08月03日

映画『宇宙+人(原題:외계+인) 』第1部や『閑山:龍の出現(原題:한산: 용의 출현)』といった今夏の大作が韓国で上映される中、『非常宣言(原題:비상선언)』や『Hunt(原題:헌트)』もこれに合流し、韓国映画“四つ巴バトル”が繰り広げられると見られる。
3日と10日に公開される2つの映画は、いずれもカンヌ映画祭の招待作で、『非常宣言』は昨年のカンヌ映画祭の非コンペティション部門に、『Hunt』は今年のカンヌ映画祭のミッドナイトスクリニーング部門に招待された。
2つの映画が合流した夏の大作2ラウンドは、数百億ウォン台の制作費がかけられた作品同士の競争という点でも注目すべきだが、累積観客数1700万人の“興行ベテラン”ハン・ジェリム監督と、“新人監督”イ・ジョンジェの対決という点がいっそう目を引く。
◇ 300億ウォンと233億ウォンの大作…巨大飛行機セットから多彩なアクションまで
先だって公開された『宇宙+人』第 1部や『閑山:龍の出現』と同様、『非常宣言』と『Hunt』も、巨額の制作費が投じられている。
『非常宣言』の制作費は300億ウォン(約30億円)で、損益分岐点となる観客数は500万人だ。ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ドヨン、イム・シワン(ZE:A)、キム・ナムギル、キム・ソジンなど、豪華キャスティングでも話題となった。
最大の見どころは、実際の航空機で製作されたセット。セットは旧型のボーイング777機体を使用し、2カ月かけて製作された。飛行機が揺れたりひっくり返ったりするシーンは、直径7メートル、長さ12メートルにもなるセットを360度回転させながら撮影した。ハリウッドでも見られない新しい試みだ。
『Hunt』の制作費は233億ウォン(約23億円)、損益分岐点は420万人となる。Netflixドラマ「イカゲーム」でワールドスターとなったイ・ジョンジェが、所属事務所の盟友チョン・ウソンとタッグを組んだことで注目を集めた。また、パク・ソンウン、ユ・ジェミョン、イ・ソンミン、チョ・ウジン、チュ・ジフン、ファン・ジョンミンなどがサプライズ出演しており、また違った面白味を加えた。
アメリカのワシントンをはじめ、ソウルや東京、タイのバンコクなどを背景に繰り広げられる華やかなアクションが見どころで、特に銃撃戦や、爆破シーン、カーチェイスが目を引く。
◇ 相反する作品の構成と内容…人物描写や展開の仕方の違い
2つの映画は、いずれも莫大な制作費とスケールを誇っているが、構成や性格には違いがある。
『非常宣言』は、生化学武器で航空機をハイジャックするというフィクションだが、この3年間で世界が経験したパンデミックの状況を想起させる。感染者と非感染者、接触者と非接触者に分かれて起こる乗客間の葛藤は、新型コロナウイルス感染症の事態の中の我々の姿と似ている。航空機の着陸をめぐり発生する国家間の葛藤や利己主義も同じだ。
『Hunt』は、ラングーン爆破テロ事件、MiG機亡命事件、光州(クァンジュ)民主化運動など、韓国の現代史の中の事件に基づいて話を作り出した。“国家のため”という名目で罪のない人々を捕まえ監禁して拷問し、捏造する安全企画部など、1980年代の社会の雰囲気が反映されている。
そのため2つの作品のタイプは、相反する。『非常宣言』は、航空機と乗客が主人公だが、パンデミクを体験した全世界が共感できる。しかし『Hunt』は、アメリカや日本、タイなどさまざまな国家を行き来しながら物語が繰り広げられるが、ストーリーは韓国現代史が土台となっている。
展開の方法にも違いがある。『非常宣言』は最初にテロ犯を見せた後、災難に出くわした人々の姿を描くことに重点を置いた。『Hunt』はスパイが誰なのかを、最後まで観客に推理させる。
映画評論家のチョン・チャンイル氏は、「2つの映画の観客層は大きく変わらない」としながらも、「『非常宣言』はパニック映画とブロックバスターの性格が強い反面、『Hunt』は韓国現代史を基に観客に考えることを多く投げかけているという違いがある」と分析した。
