映画『ザ・キラー:死んでもいい子』、アクションを妨害する描写さえ必要ない…チャン・ヒョクのワントップ演技

2022年11月04日

ウィガン (チャン・ヒョク)は引退した40代前半の元殺し屋。庭園付きの高級ヴィラで、安らかな表情で不動産の税金関連の本を読んでいる点から、財テクの大成功が引退のきっかけだったとみられる。
回復不能の負傷を追ったり、請負殺人の世界に幻滅を感じたわけではない。時々射撃もしに行くのを見ると、いわゆる“キラー本能”は依然として潜在している。妻と一緒に3週間の旅行に出かけた知人の娘を面倒見ることになりながら本能が蘇る。
映画『ザ・キラー:死んでもいい子 (原題:더 킬러: 죽어도 되는 아이)』は、少女を守らなければならない元殺し屋を主人公にして、チャン・ヒョクをワントップ主演にキャスティングした点だけでも、ストーリー展開と結末が描かれる映画。無理な演出でなければ、似たような設定の映画で繰り返される経路に従うしかない。
少女ユンジ (イ・ソヨン)がウィガンの代わりに友だちと一緒に過ごすことになりながら事件が始まる。
ユンジは仲間たちの誘いに乗って、ロシアマフィアまでつながった売春組織に拉致される。世の中で一番怖い妻が帰ってくる前まで、この少女を救出するのがウィガンの任務だ。
肩書が“元殺し屋”なので高校生と同世代の集団からユンジを救い出すのに10分もかからない。しかしウィガンが一時使っていたナイフが直ちに大型殺人事件の犯行道具に使われたことで事がこじれる。任務を果たした後もユンジを売春の対象にしようとした人物をあえて追跡し処罰するという正義感が物語を導き続けていく。
映画はチャン・ヒョクのアクションに予想より深く焦点を合わせる。いきなり斧が飛び回り始まる。
小説を原作にしたが、アクション演技の観賞にこれといって役に立たない説明は果敢に取り除いた。数回にわたって企てるどんでん返しも予想可能な範囲内にある。ウィガンの過去、ユンジと妻のキャラクターなど気にするなというようにアクションにほとんどすべて力を集中する。
犯罪組織の最もトップあるいは背後に近づくにつれ、相手の実力は強くなり、頭数も増える。ウィガンは素手、斧、拳銃はもちろん地形地物まで活用し、妨害物を除去する。チャン・ヒョクが代役なしにほとんど大部分の演技をこなしたという点を強調しようというように、リングテイクアクションがひっきりなしに登場する。カメラはウィガンを中心に回転しながら、時には時間の流れを調節する余裕もみせる。
ウィガンは拳銃を使いながらも左手からコーヒーを離さない。相手の打撃を防ぐ彼の手さばきは目に見えないほどに速い。動作を節制しながらも可能な技術を総動員したおかげで、少なからぬアクションシーンが退屈ではない。香港やハリウッドの舞台で活動するブルース・カーン (ユリ役)とアクション対決では職人精神さえ感じられる。
反対にチャン・ヒョクでなかったら、この映画がどんなふうになったのか想像も難くない。
ナイトクラブを連想させる原色の照明、ヘビーメタルとハウス風のBGMが誇張されているため、観客によっては時代遅れのアクション映画に感じられる。アイドルグループ「公演少女」出身のイ・ソヨンには演技よりも練習という表現が適切に見える。
製作陣はただアクションのためにこの映画を作ったことを隠さなかった。
チャン・ヒョクは試写会に続いた記者懇談会で、「描写が複雑であればパフォーマンスが埋もれそうで、殺し屋のキャラクターをどんなふうに見せるか集中した」と述べた。チェ・ジェフン監督は「蓋然性よりはもっと娯楽的に、愉快に作った」と述べた。

前の記事 エンタメ情報一覧へ 次の記事