映画『窓の外は冬』…平凡な日常を生きる人々の物語

2022年11月17日

ソウルで映画監督をしていた“ソク”は、故郷の鎮海 (チネ)に戻り、バスの運転手として働き始める。そんなある日、ターミナルで故障したMP3を発見する。
遺失物保管所を担当する“ヨンエ”は、そのMP3は誰かが捨てていったものだと主張するが、ソクは落とし物だ、持ち主が現れるまで待つと言う。
2人は、誰かが捨てたのか、あるいは落としたのか分からないMP3を直すため、修理工を探し回る旅に出る。
映画『窓の外は冬 (原題:창밖의 겨울)』は、平凡な日常を生きていく人々の話だ。
朝になれば出勤してバスを運転し、退社したら、卓球ボールを何度か壁打ちして眠りに就くソク。切符売り場で働きながら、遺失物を管理するヨンエも、素朴な日常を生きているという点で同じ。
特別なこともない一日を過ごすソクとヨンエにとって、故障したMP3は一つの「事件」だった。別れ、後悔、好感、愛など様々な感情がスクリーンを静かに、そして淡々と満たしていく。
作品は20年以上前、観客の感性を魅了したメロ映画とよく似ていた。
『八月のクリスマス』(1998年)、『美術館の隣の動物園』(1998)、『春の日は過ぎゆく』(2001)などに込められた叙情的なストーリーや感性の延長線上に立っているようだ。
映画は、慶尚南道 (キョンサンナムド)の鎮海で撮影された。韓国最大の桜まつり「軍港祭 (チネグナンジェ)」などで有名な鎮海だが、作品の中では素朴な日常を表現する舞台となる。
鎮海は、作品を演出したイ・サンジン監督が20年近く住んでいた故郷だ。劇中のソクは、彼が映画を続けられるのかと悩んでいた時の姿を投影した人物だという。
イ監督は、今月15日、マスコミ試写会と記者懇談会で「鎮海と言えば軍港祭が浮かぶが、観光地だけではなく、そこには日常もある」とし「いつかは消えゆくそんな日常の空間を、映画で撮りたかった」と述べた。
劇中、ソクとして出演したクァク・ミンギュは、独立映画で広く顔を知らせた俳優だ。
彼は今回の作品で、バスを運転する演技をこなすため、大型自動車第一種免許を取得したという。ソクに好意を寄せるヨンエ役を務めたハン・ソナは、活発で堂々としたキャラクターを表現しようと髪を短く切った。
作品では、ソクとヨンエが卓球をするシーンがかなり登場する。
2人の俳優は、撮影前に卓球のレッスンを受け、集中的に練習した。ソクとヨンエがラケットを握ってボールをやりとりする姿は、かなりの上級者に見える。
ハン・ソナは「(撮影) 当時、趣味にしたいと思うほど卓球が楽しかった。映画のために学んだスポーツなのに、興味深かった」と振り返った。
クァク・ミンギュも「この映画の中で生きている間は、(ソクのような)人物にならなければならないと思った」とし、「ソクやヨンエのように友人や恋人の間で、同じ趣味を持つとは、どれほど幸せなことなんだろうと思った」と語った。
映画には、MP3をはじめアナログな感性がにじみ出る素材が多く盛り込まれている。作品の中の路地に登場する印刷所、文具店、理容院の看板も昔の感性を加える。

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