歌手チェ・ベクホ、新譜『Moment』を発売…「EDMポップは初めてのジャンル、挑戦が原動力」
2022年12月06日

「年を重ねた人のロマンは、思い出のことになる。若い人たちは若さそのものがロマンだということを知らない。年を取ってから、その時のその“刹那”がロマンだったということを知る」
“ロマン歌客”歌手チェ・ベクホ(72)は最近、インタビューで自身の人生論をこのように明かした。
彼は「今、皆さんが向き合っている瞬間がもしかしたら本当に長く記憶される“刹那”かもしれないので、大切にしながら過ごしてほしい」と訴えた。
70歳を越えたこのベテラン歌客が、人生の話を切り出した理由は、彼が最近、後輩歌手たちの参加する企画アルバム『Moment』をリリースしたためだ。
『Moment』は、チェ・ベクホが昨年12月にリリースした『A Look at humanity』に続き約11カ月ぶりに発売する新譜だ。若者から老年にいたるまで、各自が抱く人生の悩みや省察を共有するというメッセージを盛り込んだ。
アルバムにはイントロ「Moment(feat.ZICO)」をはじめ、「Moment」、「Paint Over(feat.Colde)」、「Dream With Me(feat.george)」、「Change(feat.Tiger JK)」、「Old Memories(feat.Jeong Mijo)」、「Pass Away(feat.Jung Seung Hwan)」、「Book」が収録された。
タイトル曲「Moment」は、過去と未来に対する真剣な省察を彼だけの深い感性で表現した楽曲。刹那が集まって人生をなし、今が一番輝く瞬間だという人生の知恵が盛り込まれている。
チェ・ベクホは「今日一日、今この瞬間をしばらく振り返りながら、人生に対する多くの感情(喜び、悲しみ、後悔、歓喜、痛みなど)を感じる方々とともにこの楽曲を分かち合いたい」とし「その“刹那(Moment)”たちが集まって、我々を形成するからだ」と指摘した。
チェ・ベクホはこのアルバムでJeong Mijo、Tiger JK、ZICO、george、Colde、チョン・スンファンのようなそうそうたる後輩歌手たちとコラボし目を引いた。年が離れた後輩たちとのタッグは、新鮮な挑戦だったという。
彼は「新しい挑戦は、いつも不慣れで難しいが、音楽を続ける貴重な原動力でもある」とし、「ヒップホップやEDM(Electronic dance music)ポップ、どれも初めて接するジャンルだったので大変だったが、音源がリリースされると、多くの方が楽しんで聴いてくださり胸がいっぱいになった」と感想を明かした。
それとともに「むしろ、慣れないジャンルの楽曲を挑戦できるようにサポートしてくれた同僚ミュージシャンには、感謝しかない」と功を譲った。
チェ・ベクホはZICOやgeorgeなど、“ホットな”後輩たちとのコラボについて、「皆、自分の個性が明確でステキなアーティストなので、一緒に歌うことができて楽しかった」と振り返った。
Coldeがフィーチャリングで参加した3トラック目の「Paint Over」は、“歌の主人”が1コーラス目を歌いフィーチャリング歌手が2コーラス目を歌うという慣例を破った楽曲で、チェ・ベクホが2コーラス目を歌っている。
彼はこの楽曲について、「皆が眠っている時間、夢のために“時間のキャンバス”を塗り重ねる青春の姿を歌で表現した」と紹介した。
続けて「私たちの世代が持つ、2030(20代から30代)の若者の疲弊感を励まし、温かく抱きしめたいという気持ちを表現したくて、Coldeのボーカルを先にした」とし「その後に私が続けて歌い、攻勢を決めてみた」と説明した。
チェ・ベクホは「楽曲の後半、チェ・ベクホとColdeのボーカルが調和する部分は、若者も老年も苦悩の重さは変わらず、皆励ましが必要だという気持ちを込めたフレーズ」と付け加えた。
今回のアルバム制作には、新人作曲家育成プロジェクト“O'PEN MUSIC”と、共同制作会社PNP所属の作曲家たちが作詞、作曲、プロデュースを行った。チェ・ベクホは、2018年からO'PEN MUSICのメンターとして活躍している。
彼は「新人たちのほうがむしろ、人生という主題についてさらに深みのある省察をしている気がする」とし「年を取ると、若い頃に抱いていた悩みが、日常となり、ややもすると生活の一部になるからだ」と述べた。
また「若い頃を振り返ると、彷徨い、悩んでいた」とし、「アルバムのテーマを表現するにあたって、この方々(新人作曲家)の哲学、苦悩、表現方法が、私にはとてもよかった」と満足した。
チェ・ベクホはO'PEN MUSICを通じて、新人作曲家発掘と育成にも力を入れている。彼は2018年のO'PEN MUSICの発足時期には、若者には音楽を諦めないでほしいと声を高めたりもしていた。
チェ・ベクホは「新人ミュージシャンが自立できるようになるには、環境があまりにも劣悪だ。新人の音楽を紹介し、共に成長できる場所が少ない」とし「自分が作った音楽を紹介し、支援を気軽に受けられるプログラムと施設が必要だ。K-POPの次を率いるのは、今の新人たちだ」と強調した。
彼は特にここ数年間、新型コロナウイルス感染症の事態で「文化界の打撃が言葉では言い表せないほど深刻だった」とし「私は歌手生活をしばらくしてきた。最近は、生業として演奏し歌う後輩ミュージシャンの立つ場所がなくなった」と残念がった。
それとともに「我々の次の世代のミュージシャンたちが自立できる環境を、しっかりと作れればという思いが大きくなった」と述べた。
そして「若い頃を振り返ってみると、わたしもやはりとても暗くて大変だった。しかしそのときが本当に純粋で長く記憶に残っている。皆さんも今、この刹那の瞬間を大切に、温かい気持ちで、楽しく音楽をすることを願う」と話した。
