故シン・サンオク監督の遺作『冬物語』、今月18日に韓国で公開
2023年01月12日

故シン・サンオク監督の遺作『冬物語 (原題:겨울 이야기)』が、18年の時を経て公開される。
映画は、妻の死によって受けたショックで認知症になった男性 (シン・グ)と、彼の介護をする嫁 (キム・ジスク)の確執と愛憎を描き出した作品だ。
これまで、義父から温かい言葉をかけられたことがなかった嫁は、突然何も分からない子供のようになってしまった義父の介護をすることになる。
息子や娘、孫のことは覚えておらず、ただ「妻」だけを捜しているため、目が離せず、付きっきりで看病しなければならない。ついに嫁は介護を理由に、会社を辞める。
彼女は、知らんぷりをし、介護を任せっぱなしにする夫に「なぜ私の父親でもないのに、私が犠牲にならなければならないのか」と不満を漏らすものの、夫より義父のほうの面倒をよく見る。
夫が、夜中に大声を出す義父に向かって「いっそ死んでしまえ」と言うと、彼女は「よくそんなことが言えるわね」と言って心を痛めたり、義妹が義父の便の匂いに腹を立てる一方で、黙々とおむつを替えたりする。
認知症の患者と介護者の哀歓を描いたこの作品は、日々、高齢化していく時代に深刻な問いを投げかける。
俳優キム・ジスクは、ソウル・龍山 (ヨンサン)区のCGV龍山I'PARK mallで開かれた試写会および記者懇談会で「私が出演した映画を見て泣くなんて思わなかったが、涙が出た」と話した。
そして、「このような時代、映画で見た家族愛を見る事は難しい」とし「家族が家族のために犠牲となり、心を痛めるという過程を、認知症という媒体で見せるこの時代の最後の家族映画だ」と述べた。
『冬物語』は、シン・サンオク監督の15本目の作品でもある。
2004年の撮影終了後、編集を終えずにシン・サンオク監督がこの世を去ると、息子のシン・ジョンギュン監督やチョ・ドングァン撮影監督など、後輩映画人たちがこれを継承。18年の時を経て日の目を見ることになった。
シン・ジョンギュン監督は「(父親のシン監督が) ある程度の編集を終えていたので、私とチョ監督が最後の調整をした」、「1から10まで(父)シン監督の手が行き届いている」と強調。
1950年代後半に「新フィルム」を設立したシン・サンオク監督は、1961年の映画『成春香 (原題:성춘향)』や、『離れの客とお母さん (原題:랑방 손님과 어머니)』などで愛された。
1978年には妻で俳優のチェ・ウンヒと香港で北朝鮮に拉致され、その後は北朝鮮で『帰らなかった密使より』、『塩 (原題:소금)』などの作品を制作。北朝鮮の映画界の発展にも寄与した。
1986年、脱北に成功し、1994年に韓国人で初めてカンヌ国際映画祭の審査委員となった。
『冬物語』は1月18日、韓国で公開される。
