映画『交渉』のイム・スルレ監督、「生命を害さないアクションをやりたかった」
2023年01月17日

「まず、人をたくさん殺さないようにしようと思った。銃を使ったり、人を殺したりする時に、その理由があるアクションをやりたかった」
イム・スルレ監督が、5年ぶりに新作映画『交渉(原題:교섭)』で観客に会う。タリバンに拉致された韓国人23人を救うため、外交官と国家情報院要員が繰り広げる死闘を描いたこの作品は、ヒューマニズムを全面に出したイム・スルレ監督の前作とは明らかに異なる。イム監督は今回の作品を通じて初めて、正統アクションシーンに挑戦した。
16日、ソウル・鍾路(チョンノ)区八判(パルパン)洞のあるカフェで会ったイム監督は、「生命を害さないアクション分野があるとするなら、次も(アクション映画を)やれるのではと思う」と笑った。
そして「映画を見ていると、理由もなく人を殺すシーンがとても多い。観客の立場からすると、少し心地悪かった。現実的に、殺人などが起きないわけではないが、お見せする方法について更に考えるようになった。アクション映画というのは、観客に緊張感とカタルシスを与えるものなので、残忍に人を殺さなくてもそのようなものを作り出すことができればいい」と付け加えた。
今回の作品は、イム監督の演出作の中で最も多くの予算が投じられた映画でもある。制作費は168億ウォン(約17億円)で、損益分岐点は300万人となる。
イム監督は「損益分岐点を超えなければというプレッシャーを久しぶりに感じている」としながら、「今回の作品がうまくいけば、大規模の映画など、選択の範囲が広がる。そういう意味で興行が重要だ」と笑った。
『交渉』は、アフガニスタンの拉致事件を題材にした。2007年、プロテスタント信徒23人が宣教のためにアフガニスタンを訪れ、タリバンに拉致されたという実際の事件を脚色した。当時、この拉致された人々は、政府が旅行制限国に指定していたアフガニスタンを宣教目的で訪問したという理由で多くの非難を浴びた。
イム監督は「素材がプレッシャーになった時も確かにあった」としながらも、「主体的側面で何か大きく考えることができ、惹かれた」と演出を務めるきっかけを明かした。
さらに「必ずしも宗教的なものでなくても、『私が堅固に信じている信念が、果たしていつも絶対に正しいのか』と考えるようになった。また、国家は国民を安全に帰国させなければならないが、その責任を遂行する外交部や国家情報院の職員は、どこまでその使命を果たすのかという映画的想像力を育てながら作った」とも述べた。
映画は事件そのものより、拉致された人々を救うために孤軍奮闘する外交部職員のジェホ(ファン・ジョンミン)と現地の国家情報院要員のデシク(ヒョンビン)に焦点を当てた。
イム監督は、「拉致被害者たちにフォーカスを当て過ぎると、映画の焦点が他の論争に行きそうだと思った。できるだけ映画そのものに集中できる内容に構成しようと努力をたくさんした」と説明した。
韓国映画で初めてアフガニスタンを背景にしたことについては、「アフガニスタンについて知られていることが全然ないため、資料の準備も大変だった。諮問できる方も多くなく、関連映像や本をたくさん探した」としながら、「ヨルダンでロケ撮影をしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、それも容易でなかった」と振り返った。
『交渉』は、イム監督とファン・ジョンミンが『ワイキキ・ブラザーズ』(2001)以来、約20年ぶりに再タッグを組んだ作品でもある。
イム監督は「チョン・ジェホという人物が最初から最後まで映画を導いていくため、ファン・ジョンミンさんが担ってくれればとても心強いと思った。これまでやってきた役柄やジャンルとまったく違うが、快く出演してくれて本当にありがたかった」と感謝を伝えた。
イム監督は、「どのように演技をすれば観客の気持ちを動かすことができるかについてのノウハウをたくさん持っている。たくさん助けてもらった。作品に臨む現場での集中力やエネルギーがすごかった。この20年間で立派なプロになったなと思った」と明かした。
イム監督はヒョンビンについて、「アクションシーンの大部分をヒョンビンさんがやったと言っても過言ではない」とし、「運動神経やアクションに関する感覚がずば抜けていい俳優」だと称賛した。
今月18日に韓国で公開を控える『交渉』は、15日の午後からハリウッド大作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を抜き、リアルタイムの前売り率の1位を走っている。イム監督は「観客の期待に感謝する」としながら、「映画『幽霊(原題:유령)』も、この映画も完成から2年近く公開を待っていたので、一緒に(2023年の)幸先のいい初スタートを切りたい」と明かした。
