映画『モンムンイ』のキム・ジュファン監督、「ミザンセーヌより子犬の安全のほうが重要」
2023年02月21日

映画『モンムンイ(原題:멍뭉이)』の始まりは、キム・ジュファン監督の愛犬ルーニーとレイだった。
キム監督は、10年あまりを共に過ごした今は亡き愛犬2匹を思いながらシナリオを執筆した。姉妹だったルーニーとレイは、主人公“ミンス”(ユ・ヨンソク)が長い間飼っていた愛犬として、そして“ジングク”(チャ・テヒョン)が叔父から世話を頼まれた愛犬の名前としてそれぞれ映画の中に残った。
最近、ソウル・鍾路(チョンノ)区昭格(ソギョク)洞のあるカフェで会ったキム・ジュファン監督は、ルーニーとレイの話が出ると携帯電話を取り出し、保存された写真を見せた。明るい顔をして並ぶ2匹の子犬が映っていた。彼はほほ笑みながら、「この子がルーニーでこの子がレイだ」と1匹ずつ指さした。
キム監督は、極めて個人的な物語になりうる話を、商業映画として作るまでに多くの苦悩があったと告白した。
「『ミッドナイト・ランナー』はうまくいったが、『ディヴァイン・フューリー/使者』は、そうはいかなかった。その過渡期で『一体私は何だろう』という質問をせざるを得なかった。結局どんなことを追いかけても、メリットとデメリットがあった。重要なのは、自分自身との約束だった。『この世を少しでもましに、よくしよう』ということ」
『モンムンイ』は、結婚を控えたミンスが、犬のつばでアレルギー症状が出てしまう婚約者のゆえに、ルーニーの新しい家族を探しに出ることから巻き起きる物語だ。ミンスのいとこの兄のジングクは、小遣い稼ぎのためにミンスを助けると乗り出したが、捨て犬たちが置かれた現実と向き合いながら少しずつ変化していく。
「『ミッドナイト・ランナー』もそうだが、現実ではこんなことは起こらないはず。むしろ胸の痛む出来事のほうがたくさん起こるだろう。しかしこのような話をお見せすることで、『ミッドナイト・ランナー』を見たある人は、不義をやめよい行動を取るようになるかもしれないし、『モンムンイ』を見たある人は、保護犬の里親になるかもしれない。それが1人であれ、100人であれ副ションがそのような行動を導く瞬間、作品が非常に大きな意味を持つと思う」
キム監督は、ミンスとジングクという2人の人物について、「1人は長く犬を飼っており、もう1人はそうではない」とし「この作品は、ペットを飼う人のためだけの映画ではないからだ」と説明した。
「ペットと一緒にいた経験がない方や、あまりにも昔にペットを飼っていたため記憶があいまいになっている方々も、共感できたらと思った。飼い主の立場の人にはすでに分かりきっている話が、他の方々には新鮮であるかもしれないので、その質量を悩み続けながら作っていた」
ミンスとジングクは、ルーニーの新しい家族を探すための道のりの中で、さまざまな人に出会う。ある人は子どもの情操教育のために、ある人はカッコよく見せたいがために子犬を育てようとする。また、亡くなった愛犬の“空席”を埋めるために新たな犬を探そうとしている人や、捨てられた犬たちを世話しながらも、現実に打ちのめされる保護センター長も登場する。
それぞれの関係が伝えるメッセージは、キム監督特有のユーモアとともに描かれる。彼は「教訓が教訓のように見えてはならないと思った」とし「子どもたちに薬を飲ませるとき、シロップを入れなければならないように、笑いと共に(メッセージを)伝えようと研究し続ける努力をした」と述べた。
映画には、ミンスとジングクとともに済州(チェジュ)島に向かう犬8匹をはじめ、数多くの犬が登場する。
キム監督は、どんな現場だったかという問いに、「私が望む美しいミザンセーヌより、犬たちの幸せと安全を重視して撮影した」と振り返った。
「日差しがジリジリと照り付ける日、犬たちが走り回って遊ぶのを撮りたくても、直射日光が犬たちにはよくない。それは仕方がないことで、諦めなければならない。捨て犬が脅されるシーンも入れないわけにはいかず、首につなぐ鎖は、軽いプラスティックのものを使った。大きな音でストレスを与えないよう、後半の作業で別に撮った」
2人の警察学校学生の友情と成長を愉快に描き出した『ミッドナイト・ランナー』で商業映画デビューを終えたキム監督は翌年、格闘技選手と悪魔司祭が悪に対抗し戦うオカルト映画『ディヴァイン・フューリー/使者』(2018)を披露した。来月1日に韓国で公開される『モンムンイ』の後は、Netflixシリーズ「ブラッドハウンド(原題:사냥개들)」で大衆と会う予定だ。
彼は「ジャンルは違っても、私は人々が会って世の中を変えたり、障害を乗り越えていったりするプロットを扱うようだ」としながら、「これが私の限界だと思ったりもするが、誰かと関係を結び、頼って生きてきたため、未だにそれを信じて(作業を)しているようだ」と述べた。
キム監督は最近、イギリスの俳優アンディ・サーキスが設立した制作会社とともに、ドラマ「妖怪伝(原題:요괴전)」を作るという便りを伝えたりもした。彼は「今後5年間、すべてを開いて吸収してみようと思う」と述べた。
「今回初めてオンライン動画サービス(OTT)の作品を作ってみたが、私の範囲外にあるコンテンツでもっとよい絵を作りたい。これからはよい作家の文を演出してみたいし、12部作のドラマもやってみたいし、MVも撮りたい。自分自身を拡張していこうと思う」
