映画『ソウルに帰る』、韓国に来たフランス人養子“フレディ”のアイデンティティ探し

2023年04月26日

ソウルに旅行に来た25歳のフランス人“フレディ”(パク・ジミン)は、ソウルでフランス語ができる韓国人青年2人に出会い、一緒に酒を飲む。
フレディがグラスに焼酎を注ごうとすると、友だちが止める。自分のグラスを自ら満たすのは、飲み友達に対する“侮辱”らしい。
フレディはにやりと笑い、これ見よがしに自分のグラスに酒を注ぐ。
韓国で生まれた後、フランスに行った海外養子のフレディは、2週間の休暇を取り、日本を旅行する計画だったが、台風のため偶然、ソウルに来ることになった。
カンボジア系フランス人監督のダヴィ・シューが演出した映画『ソウルに帰る』は、韓国人の海外養子縁組を外国人の視線で見た映画だ。
映画の主人公フレディは、韓国で予期せぬ経験をすることになる。養子縁組機関を訪れ、生みの親を探すことにしたのだ。
失われた“ルーツ”を探すフレディの冒険は、こうやって始まった。これは「私は誰か」というアイデンティティに関する質問の答えを探す旅程でもある。
フレディはバスに乗り、全羅北道(チョルラブクト)群山(グンサン)まで行き、実父(オ・グァンロク)と再会したが、なんともぎこちない。
フランス人のフレディが、サムゲタンの食堂で床にお尻をつけて座ったのと同じくらいぎこちない。海外養子縁組は「お前の未来を思っての結論」だったという祖母の謝罪も、フレディの固い表情を変えることができない。
韓国人の友人たちが止めたにもかかわらず、自分のグラスに焼酎を注いだことからも分かるように、縛られることを拒否するフレディの性格のせいかもしれない。
そんなフレディが主人公であるため、この映画は韓国に来た海外養子が生みの親と、ひいては自分との和解に到達するというありきたりな話から脱する。
フレディは、どんな与えられた答えにも安住しようとしない。
自分のアイデンティティを探すフレディの道のりが長くならざるをえない理由だ。この映画は、フレディの初めての韓国旅行に続き、2年後、7年後の話を見せ、彼女の変化を追う。
与えられた答えを拒否するフレディの道のりは、長いだけでなく苦しい。フレディが騒々しい音楽の中で目を閉じ神に憑かれたように踊るのは、苦痛を忘れようとするあがきのように見える。
フランスの韓国系移民2世のビジュアルアーティストで、初めて映画出演するパク・ジミンは、この作品で優れた演技を見せる。
特に、自分のルーツを探すため、韓国に来た海外養子の複雑な心境を見せる表情演技が卓越だ。カメラは、重要な瞬間ごとにパク・ジミンの顔をアップで映す。
実父役の演技派俳優オ・グァンロクも光を放つ。オ・グァンロクは、外国へ養子縁組に送った子どもに思いがけず再会した父親の、恥ずかしくも申し訳ない気持ちをよく表現した。
この映画は、韓国の過ぎ去った大衆歌謡も頻繁に登場する。イ・ジョンファの「花びら(原題:꽃잎)」やシン・ジュンヒョンの「美しい河山(原題:아름다운 강산)」などは妙な郷愁とメランコリーで観客を惹きつける。
ここにソウルの夜の街のネオンサインのように躍動するミザンセーヌが加わり、1本の魅惑的な映画が誕生した。
カンボジア系フランス人の監督ダヴィ・シューは、2011年に釜山(プサン)国際映画祭に招待され、韓国を訪問。海外養子である韓国系フランス人の友人が実父と再会する場に同行しながら、この映画を構想することになったという。
ダヴィ・シューは最近、試写会直後の懇談会で、この映画が外部者の視線で見た韓国の海外養子に関するのもだとし、「韓国の観客たちに見せ、感想を聞くのは感動すると思うが、海外養子縁組を正確に描き出せなかったらどうしようというプレッシャーもある」と述べた。

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