映画『キリング・ロマンス』、評点逆走行にシンガロング上映会まで、MZ世代を狙い撃ちするヒット現象
2023年04月28日

“一度も僕は君を忘れたことはない/ただ君だけを考えたんだ~”
26日、ロッテシネマ建大入口 (コンデイック) 3館スクリーンに、カラオケの画面とともにグループH.O.T.の楽曲「Full Of Happiness」が出ると観客が一人二人メロディーを口ずさみ始めた。
“目を閉じて君を描く/心の中の君を見つけたんだ/僕を照らしてくれる光が見える/永遠の幸せを逃すことはできないよ”
サビの始まりとともに客席の声はさらに大きくなった。何人かの客席は小さく手を叩いて体を揺らしたりもした。
音楽番組の撮影現場かと思うが、映画『キリング・ロマンス (原題:킬링 로맨스)』に登場する話題の楽曲を一緒に歌う“シンガロング”上映会現場だ。
『キリング・ロマンス』のファンによる要請に、「JOHN NA好き団幸福 (Full Of Happiness) 合唱会」という名前で開いたこの上映会は、260席あまりが予約販売開始と同時に売り切れた。
この映画はイ・ウォンソク監督が『男子取扱説明書』(2013)以来、初めて世に出す作品で、引退したトップスターヨレ (イ・ハニ)が夫のジョナサン (イ・ソンギュン)から抜け出すために繰り広げる死闘を描いた。
観客層が幅広いコメディジャンルであるうえに、有名俳優らが多々出演しているが、去る14日の公開直後には観客の酷評を受けた。つかみどころのないストーリーと“B級感性”が見慣れない一部の観客は、上映途中に席を立つこともあった。
CGVが実際の観覧客だけを対象に算定する映画評価点数「ゴールデンエッグ指数」は、大抵の拙作でも見られない60%台から出発した。
しかし、次第にMZ世代の間で人気を高め、公開2週目となる27日午前基準で76%まで上り、底力を発揮している。
CGVの関係者は「業界では卵 (ゴールデンエッグ指数)が割れてくっついたと表現するが、このような場合は初めて見る」とし、「最初に指数が高くても次第に下がるのはほとんどだが、『キリング・ロマンス』は完全に反対」と述べた。
業界では口コミの力が『キリング・ロマンス』の評点逆走行を作り出したと見ている。
公開初期に映画を楽しく観た一部の観客が、似たような趣向を持った知人に積極的にPRし、勧められて観覧した観客が再び周囲にPRしながらマニア層が形成されたというのだ。
マルチプレックスの関係者は、「観客が新型コロナウイルス感染症で劇場と心理的距離が遠くなった後、“検証された映画”を観ようとする傾向が強くなった」とし、「『キリング・ロマンス』は趣向が似ている集団同士で共有して観覧しながら、終盤の評点が上昇したと見られる」と指摘した。
このように形成されたマニア層はいわゆる“戦闘力”もやはり強く、映画の話題性形成に一助する。
ツイッターなどのソーシャルメディアに映画のPR文を積極的に掲示し、n次観覧 (繰り返し観覧すること)をするやり方だ。
イ監督は26日の上映会後に開いた観客との対話の途中、『キリング・ロマンス』の推薦文を毎日のようにツイッターに載せ、オンラインで関心を集めたユーザーを探したりもした。
ある映画界関係者は「『キリング・ロマンス』の主な観客層はもっとも活発にオンライン活動をするMZ世代」とし、「この世代は自分が好きな映画に対する忠誠度と愛着が強く、積極的に興行を助けようという傾向がある」と分析した。
ロッテシネマによると、『キリング・ロマンス』の全体の観客の中で52.0%が20代と30代で、67.5%が女性だった。マニア層に分類できる上映会の観客は20代と30代が84%、女性が92.5%に達した。
『キリング・ロマンス』のファンたちは、この映画の魅力に新鮮さを真っ先に挙げる。
2回目の観覧を控えている会社員のキムさん (28)は、「最近出てくる韓国の商業映画はたいして新しいものがなかったが、『キリング・ロマンス』は一時も予測できないほど新鮮だった」とし、「童話と幻想を行き来する構成も現実から脱皮する感じを与えていてよかった」と述べた。
友人から勧められ、遠くにある劇場を訪れて映画を観たイさん (30)は、「普段映画を観るとき、論理を問い詰めるようになるが、『キリング・ロマンス』は“なぜ”という質問を投げかけなくても極上の楽しさを感じられる映画だった」とし、「みんなはB級映画だというが、実はA級映画」と強調した。
フェミニズム要素が入った点も若い女性の観客の心をとらえた。
シンガロング上映会で会った大学生イ・スミン (24)さんは、「ヨレを見ながら、演劇『人形の家』のノラを思い出した。夫の前でただ気後れしたり屈服したりせず、主体性を発揮するコミカルなキャラクターが心に響いた」と述べた。
