自ずと応援してしまう優雅な復讐劇…映画『彼女の趣味生活』が今月公開
2023年08月18日

ハ・ミョンミ監督が演出した映画『彼女の趣味生活(原題:그녀의 취미생활)』は、チャン・チョルス監督の『ビー・デビル』(2010)を思い出させる。
閉鎖的な田舎町で繰り広げられる若い女性の復讐劇という点がそうだ。しかし爆発的で極端な『ビー・デビス』のキム・ボンナムとは異なり、『彼女の趣味生活』の主人公“ジョンイン”(チョン・イソ)は、より優雅で計算的に復讐を敢行する。そして都会から来たミステリアスな女性“ヘジョン”(キム・ヘナ)が彼女を助ける。
復讐劇の舞台は、ジョンインの故郷“パクハ村”だ。ジョンインはここが嫌いで、逃避結婚をしたが、夫の暴力に耐えられず離婚する。しかし、もう一つの暴力が待ち受けるパクハ村に戻ってしまう。
家に帰った当日、たった一人の親族である祖母さえ亡くなり、ジョンインはパクハ村で孤立する。村の女たちは、勝手にジョンインの家に入ってきて冷蔵庫を漁るのが常。男たちは、ジョンインの若い体を欲しがる。ジョンインが、祖母の残した大金を相続することになったという噂が広がると、村の人々はもちろん、元夫まで彼女を訪れ、苦しめる。
しかしたった一人、“ヘジョン”だけは違った。ジョンインの家の裏にある邸宅に引っ越してきた彼女は、村人とは距離を置くが、ジョンインには優しく振舞う。ジョンインの金にも関心がない。むしろもう金ができたので、趣味生活をしようと近づいてくる。ジョンインは、彼女から茶道や生け花、刺繍のような気品ある趣味を学ぶ。
しかし2人が時間を過ごす中でも、緊張感が漂う。ヘジョンの本当の正体が分からないからだ。彼女が突然どうして田舎にやってきたのか、仕事は何なのか、家族はいないのかなどの質問が生まれてくるが、作品の後半部まで、その正体はベールに包まれている。
自分の家のテラスからジョンインの家を見下ろすシーンもゾッとする。ヘジョンの夫2人が相次いで死んだこと、彼女が現れてから性犯罪再犯防止用の電子足輪を付けた中華料理店の配達員が消えたことなどにもジョンインは疑問を抱く。
本音が分かりにくいヘジョンだが、ジョンインは彼女と友情を深めていく。自分の復讐劇にヘジョンを引き入れ2人は“殺人パートナー”になる。共に計画を立て、道具を求めて実行に移すのだ。
2人の仕業により、村人たちが次々と病院に運ばれる様子を見るたび、自ずと痛快さがわく。村で最も弱い存在に見えていたジョンインが悪人を1人ずつ処分するのを応援せざるを得ないように、ストーリーとキャラクターが単純明快だからだ。
ソ・ミエ作家の同名小説を基に作られたこの映画は、今年開かれた「富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭」でも似たような評価を得た。観客たちは「スリラーだが癒される映画」、「韓国版『テルマ&ルイーズ』」と評価した。長編俳優賞(チョン・イソ)、長編NH農協配給支援賞の2つの賞も受賞した。
ハ監督は「原作小説を読んだので、帰村した女性たちの話をジャンル的に解くことができそうだった」として、「2人の主人公が、改めて人生をやり直す過程と関係性に気を使った」と演出意図を明らかにした。
映画『彼女の趣味生活』は、8月30日に韓国で公開され、上映時間は118分、年齢制限は15歳観覧可だ。
