映画『クモの巣』のキム・ジウン監督、「アンサンブルコメディーの威力をお見せする」
2023年08月30日

「アンサンブルコメディーの威力を見ることができる映画だと思う」
秋夕(チュソク、中秋節)の連休を翌日に控えた来月27日に、韓国で公開される映画『クモの巣(原題:거미집)』を演出したキム・ジウン監督は29日、ソウル・龍山(ヨンサン)区のある映画館で開かれた製作報告会でこのように述べた。
『クモの巣』は、映画製作を素材にした作品だ。1970年代の韓国の映画監督キム・ヨル(ソン・ガンホ)が、『クモの巣』というタイトルの映画を撮り終えたところ、変な夢を見る。彼は夢で見た通りの結末に変えればこの映画は傑作になるという考えにとらわれ、そこから巻き起こる物語を描いた。
キム・ヨルが映画を撮り直すと言うと、製作会社の代表ペク会長(チャン・ヨンナム)が反対し、イ・ミンジャ(イム・スジョン)、カン・ホセ(オ・ジョンセ)、ハン・ユリム(チョン・スジョン、f(x)のクリスタル)などの俳優たちも不満をあわらにする。ここに当局の検閲まで割り込み、事態は収拾がつかなくなる。
キム監督は、最初から力点を置いたのは多彩な個性を持った俳優たちのアンサンブル(響き)だったという。
キム監督は「『クモの巣』の原作を読んで一番重要に思ったのがアンサンブル演技だった」とし、「アンサンブルのコメディーがこんなに面白くなるということをお見せしたかった」と打ち明けた。
彼は「行ったり来たり小気味よい会話方式のセリフが飛び交う映画なので、よく知る俳優の中でもセリフをうまく表現できる俳優たちに出演をオファーした」とし、「きちんとよく聞こえる音で流ちょうに滞りなく流れるディクション(発音)のプロたちを連れてきた」と付け加えた。
主人公のキム・ヨルを演じたソン・ガンホは、過去に俳優たちのアンサンブルがよく、撮影が楽しかった映画に『JSA』(2000)と『殺人の追憶』(2003)を挙げ、『クモの巣』の撮影時も似たような楽しさを感じたとし、「その楽しさと軽快さ、愉快さが映画にそのまま入ったようだ」と述べた。
『クモの巣』は映画製作に関する映画であるため、映画の中に映画がある。劇中の映画は1970年代を反映し、白黒映像で描かれ、俳優たちは1970年代風にセリフを読む。
ソン・ガンホは「(同僚俳優たちが1970年代の感じのセリフを)本当に驚くほど、うまくやってくれた」と褒めたたえた。
彼はキム・ヨルというキャラクターについては、「傑作を作りたい芸術家の欲望と才能を噴出できずにいるどうしようもない人物」だとし、「ある意味、われわれの中にもそのようなものがあると思う」と紹介した。
監督の演技に初挑戦するソン・ガンホは「とても楽しく撮った。いつも夢見てきた監督だったので、とても楽しかった」と笑った。
『クワイエット・ファミリー』(1997)、『反則王』(2000)、『グッド・バッド・ウィアード』(2008)、『密偵』(2016)などでソン・ガンホと共にしてきたキム監督は、ソン・ガンホについて「唯一無二の俳優」とし、「私にとっては救世主のようだ」と絶賛した。
イム・スジョンは『箪笥』(2003)以来20年ぶりにキム監督の映画に出演した。彼女は「今年が『箪笥』の公開20周年」とし、「キム監督の世界観に一人の俳優として共にしたいといつも待ち望んでいた」と述べた。
イム・スジョンは「立派な俳優たちと共にしたおかげで、演技の呼吸については大きな悩みがなかった」とし、「楽しく遊ぶように呼吸を合わせながら、楽しいシーンをたくさん作り出した」と振り返った。
1970年代を背景にした『クモの巣』は、随所でレトロ感性を刺激する。キム・チュジャが歌う「木の葉が落ちて(原題:나뭇잎이 떨어져서)」、チャンヒョンの「私は私(原題:나는 너를)」、愛と平和の「しばらく遠のいていたよね(原題:한동안 뜸했었지)」などの挿入曲は郷愁を呼び起こす。
この映画は、5月に「第76回カンヌ国際映画祭」の公式非コンペティション部門に招待された。初上映を終えて長いスタンディングオベーションを受けるなど、映画祭で高く評価された。
