ドキュメンタリーの主人公になった歌手イ・スンユン、「誰かの夢の助けになれて光栄」

2023年08月30日

「誰かが見た夢に僕の歌が少しでも助けになれて光栄だ。僕にとっては最後だと思い、死活をかけて燃やした花火が他の誰かの花火に当たって、もう少し大きくなったようだ」
歌手イ・スンユンは29日、ソウル・CGV龍山(ヨンサン)アイパークモールで開かれたドキュメンタリー『Notes from the Unknown(英題)(原題:듣보인간의 생존신고)』の試写会後に行われた記者懇談会でこのように感想を述べた。 来月6日に公開されるこの作品は、大学卒業後にこれといった仕事をせずに過ごしていたクォン・ハジョン、キム・アヒョン監督が友人のク・ウナ氏と共に、イ・スンユンの新曲のMVを作ることになって巻き起こる話を描く。
撮影していたのは、イ・スンユンがオーディション番組に出演し、大衆の人気を得る前の2020年の夏ごろだ。当時彼は、映画タイトルどおり“Notes from the Unknown”(聞いたことも見たこともない人間)、すなわち無名に近かった。「今度が最後」という気持ちでニューアルバムを準備していた時でもあった。 イ・スンユンは「自ら最後だと設定していた時代の感情を、音楽家としてこのように笑いながら話すことができて、うれしいし運がよいと思う」と強調した。
クォン・ハジョン、キム・アヒョン、ク・ウナの3人は当時、イ・スンユンの既存曲である「Mr. Obscurity from Earth」のMVを作り、彼の新曲も作業したいという志を込めた手紙と共に伝達した。イ・スンユンがこれを受諾し、新曲「Hero Collector」のMVとこれを製作する過程を盛り込んだドキュメンタリーを同時に撮影することになった。 イ・スンユンは「当時、(MVを作るという)似たような提案をたくさん受けたが、妙に恩恵的に見えたので皆、断った」とし、「しかし3人がくれたMVを見て、手紙を読み、この方々なら一緒にできると思った」と振り返った。 「僕はものすごく疑い深い。そんなオファーが来れば普通、詐欺だと思って信じない。その時、そんな方々にたくさん会ったりもした。でも3人は『君の音楽のためなら、こうしてあげる』と言うのではなく、『我々がこんなふうに作ってみたい』とおっしゃっていた。同等の立場で僕を見つめてくださると思い信頼できた」 彼らがイ・スンユンのMVを作ることになったのは、クォン・ハジョン監督がイ・スンユンのファンだったからだ。特に彼は大変な時期を過ごしていた時、イ・スンユンの歌詞にとても励まされたという。
MVとドキュメンタリーを自ら撮影することになり、いわゆる“ソンドク”(成功したオタク、自身が好きで没頭している分野で成功した人)になったというわけだ。 「僕がソンドクだ」と自身を紹介したクォン監督は、「好きな歌手のMVを撮ることができるということ自体だけでも光栄で、その過程をドキュメンタリーとして出すことができることも意味深いこと」と感想を明かした。
しかし3人は大学時代に映画を作っただけで、MVの製作経験は皆無だったため、撮影過程には多くの紆余曲折がともなった。 表現や撮影方式も異なり、装備や場所の選定にも困難があった。新型コロナウイルス感染症の拡散で集まる人数の制限まであり、撮影日を延期したりもした。 クォン監督は「些細なことから大きなことまで、すべてが険しかった」としながらも、「こんなことを経験しながら公開まで一連の過程を経ると、『僕は映画を作るのが好きなんだな』と感じるきっかけになった」と強調した。 キム・アヒョン監督もまた「いつも希望は、肯定を意味すると思って生きてきたが、挫折と悲しみがあってこそ希望もあるという悟りを得ることになった」と述べた。
彼らの挑戦記は特に同年代の20代の観客に影響を与えた。昨年開かれた「第47回ソウル独立映画祭」で観客賞を受賞したのだ。 クォン監督は「最初は観客たちに『あの子たちもやれるんだから私にもできないはずない』というメッセージを与えたかったが、後になって考えてみると運がよかっただけだったのに、僕たちが成し遂げたと勘違いしたような気がする」とし、「ただ楽しく映画を見て、時々この作品を思い出してほしい」と願いを伝えた。

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