映画『チョン博士退魔研究所:ソルギョンの秘密』、ファンタジーゲームから飛び出してきたような退魔師カン・ドンウォンが見どころ

2023年09月29日

『群盗』(2014)を通じて剣術の実力を誇った俳優カン・ドンウォンが再び刀使いになった。キム・ソンシク監督の初の長編映画『チョン博士退魔研究所:ソルギョンの秘密(原題:천박사 퇴마연구소: 설경의 비밀)』(以下、“チョン博士”)でだ。
偽の退魔師チョン博士役を務めたカン・ドンウォンは体にフィットするスーツで幽霊を捕まえるという“七星剣”を振り回す。長い手足を活用して披露するアクションは、ファンタジーゲームの中のワンシーンのようだ。神秘的な雰囲気のCG(コンピューターグラフィックス)まで加わり、カン・ドンウォンはこのゲームの主人公になる。
キム監督は、カン・ドンウォンの魅力を十分に活用する。最初、チョン博士は詐欺師として描写される。彼は幽霊なんかいないと思いながらも、人々の弱い心を利用して退魔儀式を行い、金を稼ぐ。純真な人々を華麗な言葉の力で騙し、ラップをするように呪文を唱える姿は、カン・ドンウォンが『華麗なるリベンジ』(2016)で見せていた図々しい演技を思い出させる。
作品の序盤まで映画は、平面的なコメディーに見える。しかし本当に幽霊を見ることができるユギョン(イ・ソム)が現れた後、ジャンルはホラーに変わる。ユギョンは退魔研究所を訪れ、現金の束を差し出しながら自分を助けてほしいと要請する。チョン博士にとって彼女はいい“カモ”だ。
ユギョンと共に訪れた彼女の村は、ミステリーに満ちていた。二軒隣の家が喪家で、不吉な霧がたちこめる。ユギョンは、幽霊に取りつかれた弟をチョン博士に見せる。彼は生まれて初めて経験する幽霊との遭遇に戸惑う。カン・ドンウォンが悪魔司祭役を演じていた『プリースト 悪魔を葬る者』(2015)の場面がよぎる瞬間だ。
チョン博士は村を離れ、家に帰ることもできるのに、そうしない。家に帰るのではなく人の体に自由自在に憑依できる“半鬼”ボムチョン(ホ・ジュノ)を追うことにした。ボムチョンは、伝説的なシャーマンだったチョン博士の祖母を殺した仇であり、ユギョンの目を欲しがる悪鬼だ。
チョン博士と彼の同僚インベ(イ・ドンフィ)、ファン社長(キム・ジョンス)、ユギョン一行がボムチョン一行を追跡するストーリーは、まるで冒険ものをみるようだ。その過程に民族信仰とオカルト要素を入れて面白さを加えた。カン・ドンウォンが道士に変身した『チョン・ウチ 時空道士』(2009)が思い浮かんだりもする。
後半部には、アクションシーンが集中した。チョン博士とボムチョンの対決がハイライトだ。祖父が残した七星剣を持ったチョン博士と、見るだけでも重い長剣を持ったボムチョンは、光を放ち決闘する。ホ・ジュノが少しかがんで走ってくるシーンだけでも恐怖感を与えるほど重みがある。
映画はアクションとホラー、ミステリー、ファンタジーのジャンルがよく調和している。また、カメオを適材適所に配置し、笑いを誘う。キム監督が助監督として参加したポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』(2019)、パク・チャヌク監督の『別れる決心』(2022)などの出演俳優が、予想できない場所から飛び出す。
カン・ドンウォンはオーダーメイドの服を着たような配役を見事にこなした。彼以外にチョン博士役にハマる人はいないと思わせるほどだ。
キム監督は試写会で、「最も重要だと考え、原作から持ってきたのはチョン博士のキャラクターと憑依だ」としながら、「特に憑依を視覚的によく表現したい欲があった」と述べた。
彼はカン・ドンウォンとの作業に関しては、「カン・ドンウォンという偉大な被写体を盛り込まなければならないのに、私の器がとても小さい」としながら、「より多くのことを見せることができる俳優なのに私が至らなかった」と笑った。
『チョン博士』は、キム・ジウン監督の『クモの巣(原題:거미집)』、カン・ジェギュ監督の『1947 ボストン(原題:1947 보스톤)』と共に秋夕(チュソク、中秋節)の連休を狙って公開される作品の中のひとつだ。『チョン博士』は、2つの映画を抜いて前売り率1位となった。
カン・ドンウォンがコミカルなキャラクターを演じた『彼女を信じないでください』(2004)、『チョン・ウチ 時空道士』、『華麗なるリベンジ』などがすべてヒットしたという点も、『チョン博士』にとってはメリットだ。
映画『チョン博士』は現在韓国で公開中。上映時間は98分、年齢制限は12歳以上観覧可だ。

前の記事 エンタメ情報一覧へ 次の記事