この時代にピッタリのときめきと笑い…映画『シングル・イン・ソウル』

2023年11月15日

「僕とぴったり合う人は僕しかいない。シングル(独身)が答えだ」、「一人の人間こそ最も進化した人間だ」、「人間は一人になって初めて自分が見える」
シングルの人生を楽しむヨンホ(イ・ドンウク)の言葉だ。一人で暮らすという考えがほとんど哲学レベル。ここまでくれば、答えがないと言えるほどだ。
パク・ボムス監督の新作『シングル・イン・ソウル』はシングルの人生にこだわってきたヨンホが、恋に目覚める過程を描いたロマンティックコメディーだ。
ヨンホは作家を夢見る論述講師。お金をかなり儲けているのか、ソウルの夜景が一望できる広々とした高層マンションに一人で住んでいる。SNSで数多くのフォロワーを抱える、“パワーインフルエンサー”でもある。
ヨンホは一人暮らしが、不便だったり、居心地が悪いと感じたりはしない。定食屋で“一人飯”をするのはよくある光景だとしても、一人で肉を焼いて食べるのは諦める人もいるだろうが、彼は平気で焼き肉屋に入り1人分を注文する。
そんなヨンホに、「町内ブック」という名前の小さな出版社が本を出してみようと提案する。
ソウルとアメリカ・ニューヨーク、スペイン・バルセロナに住む3人のシングルが書いた文で、「シングルライフエッセー」を作ってみようということだった。こうして出版社の編集長ヒョンジン(イム・スジョン)とヨンホは出会った。
ヒョンジンもシングルだが、ヨンホとはいろいろ違う。仕事はしっかりこなすが、日常生活には疎い。
ヒョンジンが一番疎いのは恋愛だ。恋愛経験があまりなく、男が深い意図なく発した言葉も自分に対する“フラッティング(Flirting)”(色目を使うこと)と勘違いし、一人で心の中で小説を書く。ヨンホの目にそんなヒョンジンが入ってくるはずがない。
ヨンホのような人が恋をするようになる道は、二つある。一つは美しい存在に魅せられて自分を忘れることであり、もう一つは愛を遮る心の中の壁を崩すこと。
ヨンホは二番目の道を行く。シングルライフエッセーが初恋の話に発展し、彼は自然と自分の過去を振り返り、心の中の壁と向き合うようになる。
「シングル·イン·ソウル」は今の世代の愛をよく表しているようだ。一目惚れして眠れないことも、別れの前で泣き叫ぶことも見当たらない。この映画の登場人物はほとんど涙を流さない。
その代わりに、お互いの心を少しずつやりとりする“サム(Some)”が続く。SNSに掲載した写真や文章を見ながら、その人の心をあれこれ察するのも、今の世代の姿だろう。
この映画は“サム”のときめきと共に、ささやかなウィットで観客を楽しませる。ヒョンジンが働く「町内ブック」出版社の代表ジンピョ(チャン·ヒョンソン)、同僚スタッフのユンジョン(イ・ミド)、ビョンス(イ・サンイ)、イェリ(チ・イス)、ヒョンジンの友人ギョンア(キム・ジヨン)は、終始テンポのよいやり取りで笑いを誘う。
バルセロナに住みながら「シングルライフエッセー」に寄稿するホン作家(イ・ソム)は、この映画のストーリー展開に重要な役割を果たす。
ソウルの美しい風景も見どころだ。遠く南山タワーが見えるレストラン、晩秋の奥ゆかしい趣に満ちた古宮、日が暮れる頃にビルと車に一つ二つと明かりがつき始める街のようなものを見ていると、私たちが生きていく日常の空間がこのように美しいということを改めて知ることができる。
ときめきを刺激するには音楽も欠かせない。この映画ではAKMUの「LAST GOODBYE」とキム・ヒョンチョルの「It`s Been A While」がその役割を果たす。観客は劇場を出ると思わず「LAST GOODBYE」を口ずさむかもしれない。
ロマンティックコメディー「レッドカーペット(原題:레드카펫)」(2014)で長編デビューしたパク監督は、今作でもウィットに富んだセリフで笑いを誘う。
イ・ドンウクとイム・スジョンをはじめとする俳優たちの演技で作り出した身近なキャラクターたちは、今年の年末に映画館を訪れた観客たちの心を温かくしてくれるだろう。
映画『シングル・イン・ソウル』は、29日に韓国で公開され、上映時間は103分、年齢制限は12歳観覧可だ。

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