映画『ソウルの春』主演チョン・ウソン、「連中の力に導かれない人物の演技」

2023年11月22日

「いつも私たちには簡単な選択をして本分を忘れる危険性がある。仲間の力に引かれることもある。しかしそんな人間たちと違って悩む人間もいるものだ。それがまさにイ・テシンだ」
21日、鍾路(チョンノ)区のあるカフェで会った『ソウルの春(原題:서울의 봄)』の主演俳優チョン・ウソンは、自身が務めた役柄をこのように紹介した。
22日に公開されたこの映画は1979年に発生した12・12軍事反乱(粛軍クーデター)をモチーフにした作品。チョン・ウソンは保安司令官“チョン・ドゥグァン”(ファン・ジョンミン)の勢力に対抗してソウルを守ろうとする首都警備司令官“イ・テシン”を演じた。 チョン・ウソンはイ・テシンについて、「自分が来た軍服の本分に忠実にしようとする人だ」とし、「『首都警部司令官としても職務はこれ』という考えで苦悩して葛藤する」と説明した。
イ・テジンはチョン・ドゥグァン側に戦勢が完全に傾いた状況でも、最後まで彼らを止めようとする。9師団長“ノ・テゴン”(パク・ヘジュン)をはじめとした「ハナ会」、退役を控えた陸軍将官たちと群れをなして勢力を誇示するチョン・ドゥグァンとは異なり、孤独な戦いを続ける。
チョン・ウソンは撮影当時、一人で誰かに物乞いをするかのような演技を続けたと笑った。 彼は「受話器を握って(兵力を)送ってほしいと頼んだり、祈ったりする演技の連続だった」とし、「もどかしさもあったが、そんな寂しさがイ・テシンを完成させる感情だと思った」と打ち明けた。
イ・テシンはチョン・ドゥグァンと目標だけでなく、性格も対照的な地点に立っている。チョン・ドゥグァンが私心に満ちた感情を爆発させる人物だとするなら、イ・テシンはこれを理性的に対処する人物だというのがチョン・ウソンの説明だ。 「監督が“火と水”の戦いに見えることを望んでいた。水は透明で柔軟。それでこのキャラクターがひとつの色彩に見えるのではないかと慎重だった。なるべく落ち着きを維持しようと努力した。(火である)チョン・ドゥグァンが近づいてきたら、僕は一歩下がって観察して理解できるように」
チョン・ウソンがキム・ソンス監督の作品に出演するのは今回が5度目となる。チョン・ウソンが俳優として人気を博した作品『ビート(原題:비트)』(1997)から『太陽はない』(1998)、『MUSA -武士-』(2001)、『アシュラ』(2016)までタッグを組んだ。 キム監督は新しい作品を始める前に、いつもチョン・ウソンにシナリオを見てほしいと頼むという。『ソウルの春』もまた、チョン・ウソンに出演をオファーする前から脚本を見せていた。
チョン・ウソンは、最初は「監督が難しい作品をされているな」と思い、そして「僕に(イ・テシン役の)オファーが来そうだと予想した」と笑った。 「ずっと時間を稼いだ。監督と“駆け引き”をした。監督はオフィスに座って僕が引き受けるという言葉を待っていた(笑)。キム・ソンス監督は僕にとってとても大切な監督で、僕と切り離せない関係だ。当然、やらなければならないと思ったが、イ・テシンをどんなふうに描けばいいのか分からずに、暗澹な気持ちにもなった。この人物を作りながら特に監督に気持ちをたくさん寄せていた」
キム監督は、「イ・テシンを演じるうえで参考にしろ」と、チョン・ウソンが国連難民機関(UNHCR)の親善大使としてインタビューに応じた映像を送ってくれたりもした。 チョン・ウソンは「『これはただ僕の姿なのに、監督が果たして何を望んでいるのか』と思いながら慌てた」としながらも、「慎重さを注文しているようで、これをキャラクターに染み込ませた」と振り返った。
チョン・ウソンはキム監督の前作『アシュラ』で共に出演したファン・ジョンミンとも『ソウルの春』で7年ぶりに再会した。 坊主頭に丸い鼻の特殊メイクをしたファン・ジョンミンを見たチョン・ウソンは、「勢いに押されたくなかった」とし、「チョン・ドゥグァンが出る場面を見ながら、まかり間違えばあの火に焼けて死ぬのではないかと思った」と回想した。
2人は兄弟のような仲になるほど親しくなった。 チョン・ウソンは「映画界に携わった後、兄さんだと思った人はいないが、ファン・ジョンミンは本当に兄のようだ」としながら、「演技に臨む姿勢と共に演じる人を、同僚俳優として接してくれる。それが感じられる」と述べた。

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