3rdフルアルバムリリースのZion.T、「錆びないことが目標」

2023年12月07日

 「今から再び始めるという思いだ。0から出発して1万を作ろうというのが今回の目標」


歌手Zion.Tは今月4日、ソウル麻浦(マポ)区で3rdフルアルバム『Zip』の発売を控え行った記者会見で「錆びないことが目標だ」と述べた。

 

彼は「正直言うと、シングルを2〜3枚出すほうが収益的には大きいかもしれない」としながらも「誠実なミュージシャンとして最良の選択は、フルアルバムだった」と強調した。

2011年に楽曲「Click Me」でデビューしたZion.Tはこれまで、独特の声色と感性を前面に押し出して「Yanghwa BRDG」、「THE SONG」などのヒット曲を出した。

『Zip』は、フルアルバムとしては2017年の2ndフルアルバム『OO』以来、6年ぶりとなる作品だ。彼はこれまで、競演番組のプロデューサーなどで活躍してきた。

Zion.Tは、「アルバムを出すのは久しぶりなので、多くのリスナーが僕の音楽をプレイリストから消したような気がして悲しくなった」とし「今回のアルバムには、リラックスした自伝的な音楽を入れたかった。様々なジャンルを一気に入れたかったので“圧縮ファイルの空間”という意味を込めて『Zip』という名前を付けた」と紹介した。

3rdフルアルバムには、トリプルタイトル曲「UNLOVE」、「Stranger」、「V」をはじめ、R&Bソウルジャンルのイントロ曲「How To Use」、グラミー賞を受賞したトランペット奏者 Benny Benack Ⅲがフィーチャーリングしたジャズ・ヒップホップジャンル「best songs playlist」、ヒップホップのR&B曲「NOT FOR SALE」、ボサノヴァリズムのソフトR&B楽曲「Happy Ending」など計10曲が収録された。

「UNLOVE」は、SNSで「いいね」を押した投稿もクリック一つで簡単にハートを消すことができるという点に着目して作られた楽曲だ。イギリスの有名エレクトロニック・デュオHONNEが作曲と編曲に参加し、聴きやすいながらも洗練された質感を作り出した。

Zion.Tは、「最近の若者たちが、人との関係を整理することに頑なで無感覚になったことを表す“リセット症候群”という言葉ができた」と述べ、歌のモチーフを明かした。

彼は感覚的な映像美が際立つMVのシナリオも自ら書くなど、力を入れた。

Zion.Tは、「完璧主義者でありナルシストな男主人公が、別れを経験するとしたら“完璧な別れ”を望むだろう。そしてそれは“女の涙を見ること”だと思った」とし「主人公は涙を見てこそ、“この人は僕を愛していたんだ”と感じると思った」とMVを紹介した。

Zion.Tとのインタビューは、アルバム名に忠実にこぢんまりとした古民家の雰囲気があるスタジオで行われた。彼は、収録曲1曲1曲を取材陣に聴かせながら丁寧に紹介した。

今回のアルバムは、特にBenny Benack Ⅲが参加した「best songs playlist」や、ジャズピアニストのユン・ソクチョルが参加した「明かりの消えた部屋で(原題:불 꺼진 방에서)」など、ジャズの香りが強く込められているのが特徴だ。

Zion.Tは、「ジャズがメインだという点で、『Zip』は実験的だ」と話した。

彼は「生意気にもジャズに挑戦してみたが、ジャズというのは少しかじった程度では恥をかくだけのものであり、“本当に学んだ者だけができる音楽”だと思う」とし、「本能的に好きで試したい部分と勉強して行うべき部分の狭間で大変だったが、周りの意見を取り入れながら好みの結果物ができた」と説明した。

またもう一つのタイトル曲「Stranger」も1990~2000年代のサウンドが垣間見えるジャズ風の楽曲だ。この曲のMVには俳優チェ・ミンシクが出演し、注目を集めている。

Zion.Tは、「チェ・ミンシクさんが、これまで一度もMVには出演したことがないと言ってくださったことが、とても光栄だった」とし、「僕たちは、チェ・ミンシクさんの顔と声を全て知っていると思っているが、その方をさらによく見る機会はあまりなかった。彼の隠れた一面を見ることができる作品になるだろうと思った」と、チェ・ミンシクをオファーしたきっかけを明かした。

歌手であり、音楽プロデューサーとしても活躍しているZion.Tも、6年ぶりにニューフルアルバムを出すまでにスランプを経験したという。プライベートなことでも、音楽作業の過程でも、家族や知人との関係でも困難があった。

彼は「大変な部分は多かったが、これを抜け出す方法は、結局時間が流れるのを待つだけだった」と打ち明けた。

フルアルバムリリースをきっかけに新たな始まりを誓ったZion.Tにこれから歩みたい道を尋ねた。

「ミュージシャンではなく、一人の人材として影響力を持ち(音楽)業界に貢献をするのが一つの目標だ。もう一つは、アーティストとして良いインスピレーションを与えること。この二つの方向性は、僕のエネルギーが尽きる瞬間まで手放したくない」

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