映画『パスト ライブス/再会』の主演俳優ユ・テオ、「縁を扱うシナリオを読むだけで涙が出そうになった」
2024年03月01日

「韓国で縁は毎日使う言葉だ。これをロマンスにして西洋の観客たちに見せるというのがステキだと思った。シナリオを読んで想像するだけでも涙が出そうになった」
セリーヌ・ソン監督の映画『パスト ライブス/再会』の主演俳優ユ・テオが2月29日、鍾路(チョンノ)区のあるカフェで行われたインタビューで、この作品に挑戦することになった背景をこのように述べた。
『パスト ライブス/再会』は、韓国で幼い時期を共に過ごした2人の男女が、20年ぶりにアメリカのニューヨークで再会する話で、違う時間と環境の中で出会いと別れを繰り返す彼らの切ない愛を扱った。
ユ・テオは12歳で韓国を離れた初恋のナヨンが恋しくなり、SNSで彼女を捜すヘソン役を務めた。韓国で幼少時代を過ごし、軍隊生活まで終えた平凡な男の役だ。
ドイツで生まれ育ち、アメリカやイギリスなどで暮らしたユ・テオとしては、演じにくい人物だろう。しかし、 “笑う時は少年のようで、無表情の時は大人のような”彼の姿を見たソン監督の選択のおかげで、ユ・テオは長いオーディションを経てヘソン役を獲得した。
ユ・テオは「同胞出身なので、韓国語の実力が足りないということを自ら感じた」とし、「そんな私が平凡な韓国の男性を演じることが恐ろしくもあった」と打ち明けた。
彼はこれまで、韓国作品で同胞の役を頻繁に務め、時には韓国語の発音を指摘されたりもした。
ユ・テオは言語療法士兼スピーチ講師と共に一日も欠かさず韓国語の練習をしながら、これを着実に克服していった。
ヘソンと自分の間に共通点があるだけに、感情演技だけは自信があったとユ・テオは強調した。
「ヘソンは自分が変えられない状況を受け入れるしかない。くやしさと切なさがある人物。僕も(同胞出身の俳優として生きてきて)僕の意志や努力だけでは変えられない現実に向き合う時が多かった。幼い時から感じたメランコリーな感情を、誰よりもうまく表現できると思った」
そのおかげか、ユ・テオは韓国俳優としては初めてイギリスのアカデミー授賞式の主演男優賞候補に指名されるという栄光を享受した。
ユ・テオは「後先なく現在だけを生きる人なので、あまり実感が湧かなかった」と述べたが、「いざ授賞式に到着すると2時間ずっと緊張していた」と笑った。
受賞者として『オッペンハイマー』のキリアン・マーフィーが呼ばれると、ようやく胸をなでおろしたという。ユ・テオは勇気を出してマーフィーに近づき、祝福のあいさつを述べた。
マーフィーはユ・テオをクリストファー・ノーラン監督の元に連れていき、「『パスト ライブス/再会』に出てきた俳優だ」と紹介してくれたという。
ユ・テオは、「ノーラン監督に『メメント』の時から大ファンであり、後で韓国俳優が必要なら必ずオーディションの機会をくれと頼んだ」とし、「すると監督が『心配するな』と言ってくれた」と笑った。
これに先立ち、ノーラン監督はこの作品について、「最近見た作品の中で一番よかった」と述べ、話題となったりもした。
『パスト ライブス/再会』は、今月開かれるアメリカのアカデミー賞で『オッペンハイマー』と共に作品賞候補に挙がっている。ユ・テオは昨年からこの作品でイギリスのアカデミーをはじめ、ゴールデングローブ、ゴッサム・アワード、ベルリン国際映画祭などのレッドカーペットを踏み、スポットライトを浴びた。
彼は「『パスト ライブス/再会』以降、オーディションを受けると、半分は出演オファーが来る」とし、「私の人生を変えた作品だ」と強調した。
演技へのアプローチ法もまたこの作品をきっかけに変わったと彼は力説した。
ユ・テオは「この20年間は学校で学んで経験したことを基に、すべての役柄にアプローチしていた」とし、「でも『パスト ライブス/再会』は、縁を心から理解して演じてこそ、悔いのない演技ができた」と振り返った。
「縁と運命、持って生まれた一生の運を信じるようになるので、映画を見終わると世の中が違って見えた。作品で出会うキャラクターも私の縁だと思うようになった。最近撮ったドラマでも、この人の魂を再現するという思いで演技をした。時にはとても怖いが、マンネリにならず、いつも新しい試みをする俳優になりたい」
