ボーリングのボールに映った人生をじっと見つめる…ユリ(少女時代)主演の映画『ドルフィン』

2024年03月06日

ナヨン(クォン・ユリ、少女時代のユリ)は、遊園地がある海辺の村で地元の新聞記者として働く30代の女性だ。 偶然、ボーリング場を取材しに行った彼女は、オーナーのミスク(パク・ミヒョン)の勧めでボーリングをしてみる。 ナヨンが転がしたボールは残念ながらレールから外れてホームに落ちるが、端からいきなり跳ね上がってピンを倒す。ミスクは、「そのような現象を、イルカを意味する英単語の“ドルフィン”と呼ぶ」と祝ってくれる。

ペ・ドゥリ監督の映画『ドルフィン(原題:돌핀)』は、人生の冒険に消極的なナヨンが、ボーリングを媒介に周辺の人々に少しずつ心を開きながら、新しい人生に入る話だ。
ナヨンは自分にない新しいことには、あまり関心がなく、自分が持っている古いものに愛着を抱く人物だ。 長い年月を過ごしてきた小さな家が代表的だ。ナヨンと母親(キル・ヘヨン)、弟(ヒョン・ウソク)のねぐらであるこの家は、姉弟が幼い頃、背を測りながら壁に引いた線のように昔の記憶をそのまま残している。
しかしナヨンの安穏な世界は、少しずつヒビが入り始める。再婚を控えた母親はナヨンに、「あなたも外の世界を見て」と言う。どうやら急いで家を売るようだ。まもなく20歳になる弟は息苦しい田舎を離れてソウルに行こうとする。
人生の知恵は普通、人々より1、2歩離れて世の中を見る“アウトサイダー”が持つ場合がしばしばある。外地から来て数年が経っても、村の共同体に入れないボ^リング場の主人ミスクと、ソウルから帰ってきた青年ヘス(シム・ヒソプ)がそうだ。 家族との葛藤で心が乱れたナヨンは、彼らとボーリングを一緒にしながら心を開き、人生の新しい可能性に目覚める。
彼らがボーリングを媒介に人生を語るのが興味深い。人間が芸術を通じて深い共感に到達するように、スポーツもそんな役割を果たすことができるということをこの映画は見せてくれる。 海辺の村の静かな雰囲気が、最初から最初まで流れる。客があまりいない食堂や静かなボーリング場、波の音が聞こえる夜の海の映像は、地方の小都市を旅行するような安らかな感じを与える。 刺激的な素材や事件を意識的に避けながら、われわれの日常と似た話で共感を引き出す。
少女時代のクォン・ユリが単独主演を務める最初の作品だ。映画だけでなく、ドラマや演劇でも活動してきたクォン・ユリは、安定的な演技でナヨンが変化する姿を描き出す。
クォン・ユリは『ドルフィン』に出演したきっかけについて、「普段から素材の多様性や自由さが盛り込まれた独立映画に興味を感じていた」とし、「周りにありそうな素材に情感がわいた」と述べた。
ペ・ドゥリ監督の長編デビュー作だ。彼女の韓国芸術総合学校の卒業作品である短編『昨夜(原題:어젯밤)』(2012)は、釜山国際映画祭のワイドアングル部門に招待され注目された。
『ドルフィン』は昨年の全州(チョンジュ)国際映画祭、ソウル独立映画祭、茂朱(ムジュ)山里映画祭、カナダ・バンクーバーアジア映画祭に招待された。
『ドルフィン』は13日に韓国で公開され、上映時間は90分、年齢制限は12歳以上観覧可だ。

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