『ベテラン2』のリュ・スンワン監督、「問いを投げかける映画」

2024年09月12日

「ソーダのように痛快に悪をこらしめるより、私たちの悪に対する方法は果たして正しいのかどうかを尋ねたいという気持ちが働いた」

11日、ソウル・三清(サムチョン)洞のカフェで会ったリュ・スンワン監督は、新作『ベテラン2(原題:베테랑 2)』についてこう語った。千万映画『ベテラン』(2015)の続編である『ベテラン2』は、秋夕(チュソク/韓国のお盆)の連休が始まる今月13日に公開される。

俳優ファン・ジョンミンが演じた熱血刑事“ソ・ドチョル”がPart1に続き、『ベテラン2』でも主人公として登場するが、物語の雰囲気は全く違う。

Part1では、法の上に君臨する財閥に向かって突進するソ・ドチョルの姿がカタルシスを起こしたが、今回の作品は、罪を犯した人は何としてでもこらしめなければならないという正義感は、絶対に正しいのかと問う。

リュ監督は、「Part1は、私が怒りを抱いた複数の事件をモチーフにした」とし、「映画を使ってでも、復讐の快感を味わいたかったからだ」と振り返った。

そして「その後、ある事件に対して怒りが湧き、加害者に対して殺意まで覚えたが、落ち着いて考えてみると彼は非難されるべき対象ではないような気もした。そのうえ加害者と被害者が逆転したりもした」と述べた。

そして、「正義だと思っていたのは、果たして正義なのかという考えが積み重なり、Part1のようにかゆい所に手が届く作品もいいが、見方を変えると間違った処方にもなりえるという気がした」とし、「胃もたれするからといってサイダーを飲み続けたら、かえって胃を悪くすることもある」と述べた。

社会が複雑になり、悪の実体を明確に断定できない事件が次々と発生する現象も、影響を与えた。リュ監督は、今年7月に起き9人の命を奪ったソウル市庁駅前の交通事故を例に挙げた。

彼は、「被害者の立場からすると、青天のへきれきのような事件がどんどん起きている」とし、「私たちの生活において私を脅かすのは悪だと思うが、悪の実体を果たして一言で規定できるのか。私はそれ(規定すること)が少し怖い」と明かした。

『ベテラン』の続編が出るまでに9年を要したのも、リュ監督がこのような悩みを深めた過程と無関係ではない。リュ監督が、『ベテラン2』の演出の方向性をファン・ジョンミンに打ち明けた時、ファン・ジョンミンも最初は、「なぜあえて大変な道を行こうとするのか」という反応を見せたという。

韓国映画のアクション職人とされるリュ監督は、『ベテラン』のほか、『密輸 1970』(2023)、『モガディシュ 脱出までの 14 日間』(2021)、『軍艦島』(2017)、『ベルリンファイル』(2013)、『生き残るための3つの取引』(2010) 『クライング・フィスト』(2005)など、華々しいフィルモグラフィーを持つが、続編を出すのは初めてだ。

彼は、“続編を期待されている作品がたくさんある中で、なぜ『ベテラン』を選んだのか”という質問に、『ベテラン』は現場の俳優とスタッフの雰囲気をはじめ、全てが自然だった」と明かした。

そして「ほとんどのシリーズが、主人公の魅力で進んでいく。『ベテラン』もソ・ドチョルという主人公がいなければ、できなかった」とし、「そのキャラクターに対する私の愛情も大きかった」と述べた。

『ベテラン2』の雰囲気が変わったのには、踏襲を嫌うリュ監督の好みも作用した。彼は、「何かを繰り返すというのは危険な選択だと思う」とし、「作りやすい映画はない。どうせ大変ならば、少しでも違うことをしてみたかった」と話した。

『ベテラン2』のアクションは、Part1に劣らず華やかだ。アクションがリアルで、観客にも痛みが伝わりそうだという評価も出た。

リュ監督は、「継承されてきた快感よりは、アクションによって起こる痛みを観客も一緒に感じられたら、人物の内的葛藤をより共感できるのでは」と話した。

『ベテラン2』の新しい雰囲気を作るのに、新たに合流した俳優チョン・ヘインが重要な役割を果たす。ソ・ドチョルが所属する強力犯罪捜査隊の末っ子刑事“パク・ソヌ”を演じたチョン・ヘインは、妙な緊張感を呼び起こす。

リュ監督は、チョン・ヘインのプレッシャーを和らげようというファン・ジョンミンの提案で行った京畿(キョンギ)道での合宿に、『モガディシュ 脱出までの 14 日間』で主演を務めたチョ・インソンも合流したというエピソードを紹介し、「夜遅くまでお酒を飲みながら、チョン・へインさんの緊張をほぐそうとしてくれたのがありがたかった」と語った。

リュ監督は、“『ベテラン3』は作るか”という質問に「まず今回の作品が成功しなければならないのでは」と述べ、「(Part3につながる)ソ・ドチョルの物語は持っている」と話した。

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