ユン・ヨジョンの映画デビュー作『火女』が50年ぶりに再上映
2021年04月27日

女優ユン・ヨジョンのアカデミー賞受賞と共に、彼女の映画デビュー作であるキム・ギヨン監督の『火女(原題:화녀)』(1971)が来月50年ぶりに再上映される。
『火女』はキム監督が自身の前作『下女(原題:하녀)』(1960)をリメイクした作品。
『下女』は紡織工場の音楽教師ドンシク(キム・ジンギュ)が、若い家政婦(イ・ウンシム)の誘惑によって関係を結び、そこから起こる中間層家族の悲劇を描いた。
『火女』も『下女』のストーリー構造をそのままアレンジした。
作曲家の主人である男性ドンシク(ナムグン・ウォン)は、養鶏場を経営する妻のミョンスク(チョン・ゲヒョン)に依存して暮らしている。
ミョンジャ(ユン・ヨジョン)はいい所に嫁に行かせてくれるというミョンスクの言葉に、金ももらわず家政婦として働き始める。
ミョンジャはドンシクに暴行を受けた後妊娠し、この事実を知ったミョンスクはミョンジャの赤ん坊を強制的に流産させる。
赤ん坊を亡くしたミョンジャはますます乱暴になっていく。
ミョンジャは『下女』の主人公より純真な田舎娘のように見えるが、ネズミを足で踏み殺す残忍な姿も見せ、妊娠と流産を経験してから狂気に満ちていく。
ユン・ヨジョンはこの映画で「第10回大鐘賞映画賞」の新人賞、「第8回青龍映画賞」や「第4回シチェス国際ファンタスティック映画祭」の主演女優賞を受賞した。
翌年にはもう一度キム監督の『虫女(原題:충녀)』(1972)に出演した。
立派な妻に劣等感を感じるドンシク(ナムグン・ウォン)の妾になるミョンジャ役だった。
ユン・ヨジョンは2008年、キム・ギヨン監督の回顧展でキム監督との作業が「とても大変で、二度と映画をしないと決心した」と話したりもした。
実際に彼女はイム・サンス監督の『浮気な家族』(2003)で復帰するまで、主にテレビドラマの方で活躍してきた。
ユン・ヨジョンは『虫女』でベッドに横になった自分にネズミの大群を降らせたこともあるキム監督を、「あの時は若かったので分からなかった。奇怪なことばかりだった」とし、「その後、他の監督と作品をしてみると、ちょっとつならなかった」とも述べた。
イム・サンス監督がリメイクした『ハウスメイド』(2010)で、ユン・ヨジョンは原作にはなかった年老いた家政婦ビョンシクを演じた。
原作の家政婦役はチョン・ドヨンが演じた。
イム監督は「ユン・ヨジョンは助演ではなく、チョン・ドヨンと一緒に主演を考えて作った映画」だと述べた。
『火女』で映画デビューしてからちょうど50年目で、アメリカのアカデミー賞で韓国俳優として初めてオスカー像を手に掲げたユン・ヨジョンは、「この賞を天才監督でありデビュー作をともにしたキム・ギヨン監督に捧げる」と述べた。
その後開かれた記者懇談会でも、「彼に感謝したのは60歳を過ぎたころだった。あの方が亡くなってから初めて感謝をした。以前は変な人で、私を苦しめる人だとばかり思っていた」と述べ、改めて感謝の意を伝えた。
昨年のアカデミー賞の授賞式では4冠に輝いたポン・ジュノ監督が、「韓国の歴史の中でキム・ギヨンのように多くの偉大な監督がいた」と言及したことがある。パク・チャヌク監督もやはり、「最も偉大な韓国監督」として真っ先にキム・ギヨンを挙げる。
韓国映画初のカルト監督であり、“天才監督”と呼ばれるキム・ギヨン監督は、1955年の映画『死の箱(原題:주검의 상자)』でデビューし、1998年に起こった自宅火災により急死した。
