映画『シンクホール』のキム・ソンギュン…「肉体的に一番大変だった作品」

2021年08月05日

一瞬で地面が陥没してしまうという災害にコメディを加えた映画『シンクホール (原題:싱크홀)』で主演を担ったキム・ソンギュンは、土をかぶり、溺れながらもがく切ない演技の中に、胸を熱くさせる父性愛を溶かし出した。
映画の公開を控えた今月4日、オンラインでインタビューに応じたキム・ソンギュンは『シンクホール』を、今まで出演した作品の中で一番、肉体的に大変な作品だったと述べた。
彼は、“作品が自身にもたらす意味”という質問に「体が一番つらかった」とし「そういう意味で“やり遂げた”という、勲章のような作品。私がこれを乗り越えたなんて、自分でも驚きだ」と語った。
映画は、11年かけてやっと手に入れたマイホームが地下500mの超大型シンクホール (陥没孔)に落ち、繰り広げられる物語だ。キム・ソンギュンは妻と息子と共に新居に引っ越す“ドンウォン”を演じた。
ビラマンション一棟を丸ごと飲みこんだシンクホールで、ドンウォンは生き抜くために壊れた家具を動かし、コンクリートの山を掘り起こす。また、息子を助けようと、豪雨で溢れる水をもがきながらかきわけて進み、壊れた建物のバルコニーにしがみつきよじ登る。
キム・ソンギュンは「水を飲みこむすべてのシーンが大変だった」とし「冬なので寒かった。温かい水で休みながらやっても、いざ撮影に入ると服が濡れていて水が冷たく感じ、とても寒かった。寒さが一番つらかった」と撮影を振り返った。
一方で、災害の状況において孤軍奮闘する演技をやることができて嬉しかったと明かした。
「SFやブロックバスターが好きなので、災害の中に自分が入って演技をするということに、とても大きな期待感と満足感があった。苦労しながら危機を乗り越えていく役をやってみたかったが、今回、その夢がようやくかなった。苦労する顔や仕草をする、そんなシーンの撮影は特に嬉しかった」
だからといってドンウォンが最初から危機を乗りこえるほどの強靭なキャラクターだったわけではない。ドンウォンは、事あるごとに隣人の“マンス”(チャ・スンウォン)とぶつかりながら、文句を言う平凡な人物で、マイホームという夢をかなえた、ある家庭の家長だ。キム・ソンギュンはドンウォンの特徴を「普通の人」と説明した。そんなドンウォンが恐怖を捨てることができたのは、父性愛ゆえだ。
実際、2人の息子を育てているキム・ソンギュンは「子役俳優をずっと抱っこしたり、おんぶしたりしていた。ずっとくっ付いていたので、よその子という気がしなかった」とし「普通、よその子には怒ったりしないものだ。しかし、事故が起きてはいけないと思うと、横で子役のお母さんが見ているにも関わらず“お父さんにしっかりつかまれ”と怒ってしまった。本当に私の息子のように思っているんだなと感じた」と明かした。
「私もドンウォンのように、半地下に初めて住まいを構えた時は、本当に嬉しかった。工事のため、床の板張りや、壁紙がない空っぽの家に布団を持って行き、寝たこともある。ドンウォンは11年かけて設けた家を失ったので、悔しいながらも死ねないという気持ちがあったのだろう。しかし、家族に会わなければならないという気持ちの方がもっと大きかったと思う。何とか生きて妻と子どもと再会しなければならないと。家は失ったが、これだけは失ってはいけないという思いだったのだろう」
映画は、「第74回 ロカルノ国際映画祭」、「第20回 ニューヨークアジアン映画」、「第27回 サラエヴォ映画祭」に招待された。キム・ソンギュンはこれについて「家族愛が重要な部分だが、これを大切にする心を楽しんで見てくれたようだ」と説明した。
無名時代が長かったキム・ソンギュンは映画『悪いやつら』(2011)に古臭い七三分けスタイルで登場して観客の視線をさらい、名をはせた。以後、ドラマシリーズで、田舎から上京した老け顔の素朴な大学生や、成人した息子の2人をもつ傍若無人な父親を演じ、多くの人気を集めた。
その後も様々な作品に出演し、担った役も千差万別だ。主演映画『支度(原題:채비)』(2017)では、コ・ドゥシムとタッグを組み、破天荒な30歳の息子を演じた。また、『風水師 王の運命を決めた男』(2017)では、朝鮮王朝時代の勢道政治家の息子で悪役を、特別出演した『閑山:龍の出現』(今夏公開予定)では、日本の将帥役を担った。
いつもオファーを待っている立場だったキム・ソンギュン。今はやりたい作品や役に、まず自分から手をあげたいと述べた。共演したイ・グァンスがシナリオを見て、自らラブコールを送ったという話を聞いて自覚したと述べた。
「これまでオファーをくれる作品で一番やりたい役を探るという方法をとってきた。今後は受け身でいるだけでなく、自ら探していかなければと思った。時代劇や尖った役をやってきたが、最近はドンウォンのように、平凡な安心できる役をしたい」

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