ADOY、パンデミック下で仕上げたターニングポイントのようなアルバム『Her』…進化し続ける独自スタイル

2021年08月18日

灼熱した夏の空気がふと涼しくなる季節に、バンドADOY(アドイ)の音楽はよく合う。清涼でありながらもおぼろげなサウンドは、いつかは通り過ぎる、または過ぎ去ってしまった青春を切なく想起させる。
2017年5月にEP(ミニアルバム)『CATNIP』でデビューしたADOYは、シンセポップをベースにした感覚的な音楽でインディーズシーンの大人気バンドに浮上。舞台を海外に移しても盛んに活動した。『CATNIP』や『LOVE』の2枚のEPを発売した後、2019年11月には1stアルバム『VIVID』をリリースした。
しかし1stアルバムをリリースしてまもなく新型コロナウイルスの世界的パンデミックに見舞われた。予期せぬ状況の中、作業した新譜には、新しい試みが盛り込まれた。ADOYが今月15日に発売したニューEP『Her』がそれだ。
最近、ソウル・鍾路区寿松洞(チョンノグ·スソンドン)で会ったADOYのオ・ジュファン(ボーカル、ギター)は、「ターニングポイントであり意思」だと新譜を説明した。彼は「厳しい状況にも関わらず、進み続ける姿をお見せしたかった」と付け加えた。
ターニングポイントのようなアルバムという言葉通り、視覚要素から変化が目立つ。デビューEPからADOYのアルバムのカバーを手掛け、“トレードマーク”のように位置づけられてきたイラストレーター「aokizy(オク・スンチョル)」のイラストではなく、今回のカバーはスペインのイラストレーター「Agnés Ricart」によって飾られた。
強烈でありながら奥深いまなざしでフレームをいっぱいに埋めた女性の顔は、アルバムタイトルとも直観的につながっている。シンセサイザーを担当するZeeは、「我々が思う“Her”よりは、リスナーたちが思いうかべるそれぞれの“誰か”がいると思う」と述べた。
前作『VIVID』が、ADOYの音楽を多彩なスタイルに盛り込んだアルバムだとすれば、6曲が収録された今回のアルバムは、一本の恋愛映画のように気持ちが満ちあふれながら感情的に沈んでいく構成が目立つ。
夢幻的な1曲目「Simply」が「一番ADOYの個性に近い曲」だとすれば、2曲目と3曲目の「Antihero」や「Saint」はロックな感じを加味し、疾走するような没入感を与える。
先行公開した4曲目の「Baby」を経て、アルバム後半部の「NY」やインストゥルメンタル曲「Up」を聴くと、夏の日の汗を冷ますように、いつの間にか空気が変わっている。Zeeは「慣れ親しんだ色彩でADOYの世界に入った後、ジェットコースターのように上っては整然と落ち着く流れ」だと説明した。
4人のメンバーはADOYとして集結する前にそれぞれ多様なバンドで活躍しながら、インディーズ・ミュージックシーンで経験を積んできた面々。オ・ジュファンとドラマーのパク・グンチャンはバンドEastern Sidekickで活動し、Zeeは同じレーベルのデュオFrom the Airportに所属していた。チョン・ダヨン(ベース、ボーカル)はTrampaulineなどでバンド活動をした。
チョン・ダヨンは「Zeeが楽曲の骨組みを作り、残りのメンバーがそれに合うようなメロディーや歌詞のアイデアを考えてくるという方法で作業が進められている」と紹介した。
彼女はADOYの音楽カラーが作られるのに「Zeeの役割が大きい」とし、「3人は弘大(ホンデ)で長くバンド活動をしていたので、以前やっていた音楽作業の方法が似ているが、Zeeは大衆音楽の作業経験もある。お互いに、”ない部分”を持っているが、Zeeがそのバランスをうまく取ってくれていると思う」と述べた。
ADOY持ち前のバランス感覚は“コマーシャル·インディーズ”という彼らの独特な志向にも溶け込んでいる。彼らはANGEL HOUSEという独自レーベルを自ら運営し、音楽的独立性や商業性の間で独自の領域を構築している。
バンドのビジネス的な部分を引き受けているオ・ジュファンは、「名前さえ出せばみんなが分かるようなグループのメジャー市場や、インディーズの市場があるとするなら、その市場の中に留まり続けられるよう努力している」と説明した。
「我々はみんなインディーズを経験したことがあるので、もっと多くの人々に我々の音楽を聴いてほしいという願いがあった。以前、大衆音楽の作業をしていた時は、若干工場のように右から左へ押し出すようなやり方が気に入らなかったりもした。独自の手仕事のように個性を失わないようにしながらも、コマーシャルな音楽を作ろうとした」(Zee)
「ADOYをやる前には、『私たちのバンドの曲はこんなにステキなのに、どうしてみんな分かってくれないの?』と思っていた。それについて、いつももどかしさを感じ、現実がやるせなかったりもした。ADOYをやりながら、その思いが変わった」(チョン・ダヨン)
「我々が“コマーシャル・インディーズ”というワードを本当に代弁するバンドになったようだとも思う」というオ・ジュファンの言葉のように、ADOYは意味のある軌跡を残している。
インディーズ音盤チャートの“K-INDIE CHART”の1位など、韓国国内での反応に加え、アジア圏でも人気を博した。香港、タイ、ベトナム、フィリピン、シンガポール、台湾などでツアー公演を開催した。英語にされた自身の楽曲の歌詞をアジアの観客たちが一緒に大合唱する様子は、メンバーたちにも不思議な光景だった。
『VIVID』の発売後には、欧米ツアーで活動範囲を広げようとする計画もあったが、新型コロナウイルスの事態で“強制休職”に追いやられた。韓国の単独公演やアジアツアーなどが次々に中止となり、メンバーたちの心残りも大きかった。
しかし彼らはできる範囲で観客たちと対面する試みを続けようとしている。今月21日にはソウルのBLUE SQUAREでバンドdosiiと対バン形式の公演を開く。オ・ジュファンは「音楽をやっていく姿をお見せするのが重要だと思った」と述べた。
最後にADOYというバンドは、メンバーたちにどんな意味を持つのかと尋ねた。パク・グンチャンは「僕の音楽人生において一番大きなステージを経験させてくれたバンド。僕にはとても大切なバンド」だと力説した。
「僕にとっては最後のバンド。『最後にもう一度やってみよう』と思い結成したバンドでもある。そして、とてもたくさんの愛をもらった。できなかった経験もADOYを通じてたくさんした。まだ可能性がたくさんあるので、面白いことをもっとしながら過ごしたい。これまでの4年がとても楽しかったので」(オ・ジュファン)

前の記事 エンタメ情報一覧へ 次の記事