ピョン・ヨハン&キム・ムヨル主演の犯罪アクション映画『ボイス』、究極のリアルで描く“振り込め詐欺”の実態
2021年09月08日

振り込め詐欺は身近な犯罪だ。昨年、韓国での振り込め詐欺の被害件数は約3万9千件で、金額は7千億ウォンにのぼる。
新型コロナウイルス感染症が長期化する中、「国民支援金(災難支援金)」の支給が控えており、政府は改めて振り込め詐欺に注意してほしいと呼びかけたりもした。
誰もが一度は受けたであろう振り込め詐欺の電話を素材にしたアクション映画『ボイス(原題:보이스)』は、究極のリアル感を基にサスペンスを届ける。
未経験の人は少ないのに、あまり知られていない犯罪の実情をディティールに描き出し、警戒心を呼び起こしながらもリアルなアクションやスリラーで映画的な面白さを添えた。
釜山(プサン)の建設現場で作業班長として働く元刑事のソジュン(ピョン・ヨハン)は、昇進の通知を受け、喜んで妻のミヨン(ウォン・ジナ)に電話で報告する。
バタバタと夫の電話を切るやいなやミヨンに一本の電話がかかってくる。ソジュンの友人で弁護士だというキム・ヒョンスからだ。彼は、現場で発生した事故にソジュンの責任があるとし、「拘束を免れるためには示談金が必要だ」と要求する。
驚いたミヨンは夫に電話をかけてみるがつながらない。連絡がとれた現場の職員は事故でせわしい雰囲気を伝え、急いで電話を切る。ミヨンは、再び電話をかけてきたキム・ヒョンスが指定する口座にマンションの内金7千万ウォンを入金し、その後、何事もないソジュンの電話によって詐欺にあったことに気付く。
慌てて銀行に駆け付けるが、お金はすでに引き出された状況。警察は「どうして電話一本で、そんな大金を送るのか」と被害者のせいにする。あざ笑うキム・ヒョンスの電話を受けたミヨンは交通事故に遭う。
被害者はソジュン夫婦だけではない。前もって緻密に準備された計画とおり、建設現場の職員たちの個人情報は流出しており、現場で事故が発生したという設定の時点から通信は断絶されていた。同じ方法で職員たちが盗まれた金は総額30億ウォン。
ソジュンは家族と同僚の金を取り戻すために、振り込め詐欺の組織を追跡し始める。ブラックハッカーのカンチル(イ・ジュヨン)の助けで中国にある本拠地のコールセンターの潜入に成功したソジュンは、悪らつな振り込め詐欺の設計者クァクプロ(キム・ムヨル)の存在を知る。
現在進行形であり、悪質化していく振り込め詐欺犯罪は映画一本に収めることができないほど、その手口や規模は想像を絶すると言われているが、映画は警察、金融監督院、ホワイトハッカーなどの専門家たちを対象にした、膨大で徹底した資料調査や研究に想像力を加え、その実態を生々しく描き出した。
個人情報を確保して被害者から現金を騙し取るための台本や、大規模なコールセンターで数人がチームを組んで展開する作戦、“出し子”や両替所の運営まで体系的に組織化した振り込め詐欺のスケールに改めて驚かされる。
被害者が振り込め詐欺の電話を受け、不審に思ったとしても、被害者がかける電話をすべて断絶してコールセンターに再びつなげ、“状況劇”を繰り広げて騙し取るやり口には手も足も出ない。
映画の中のミヨンのせいにした警察のように、なぜ電話一本、メール一通で騙し取られるのかと疑問を持ったことがあるなら、すぐにその考えを改めることになる。
合格通知を待ちわびる就活生、家族の医療費を工面しなければならない人々、マンション入居に浮かれている人々をターゲットにするクァクプロは、「振り込め詐欺は相手の無知や、希望、恐れにつけこむ」と一喝する。
警察がブリーフィングを終え「金の話を切り出す怪しい電話はすぐに切れ」と呼びかけ、「被害者たちの過ちではない」と付け加えるセリフは、いかにも教訓的だがさほど気に障らないのは、こんな時世だからだろう。
キム・ソン&キム・ゴクの兄弟監督が『怖い話3:火星から来た少女(原題:무서운 이야기 3)』以来、5年ぶりに披露する作品。キム・ゴク監督は「被害者たちの過ちでないという言葉を必ず言いたかった」とし、「犯罪を素材にした映画ではなく、犯罪に対立する映画であることを願っている」と明かした。
映画『ボイス』は9月15日に韓国で公開され、15歳以上観覧可。
