「冬のソナタ」でペ・ヨンジュンの“代役”も務めた作曲家イ・ジス、音楽監督として果てしない挑戦を続ける

2021年10月05日

クラシック作曲家というより、今では“映画音楽監督、作曲者”としてさらに有名になったイ・ジス監督は、現在母校のソウル大学で教鞭を執っている。
イ監督はアニメーション映画『庭を出ためんどり(原題:마당을 나온 암탉)』のOSTのみならず、ドラマ「冬のソナタ」、映画『オールド・ボーイ』や『建築学概論』などのOST作業に参加してからもう20年が経つと明かした。幼い頃から作曲を始めたため、厳密にいえば30年ほどになるというのが、正しいと説明した。
最近では、韓国伝統音楽やクラシックを組み合わせた作曲作業に力を注いでいる彼は、新型コロナウイルスの状況でも「忙しい日常は変わらない」と明かした。イ監督とのインタビューは事前に質問を送って時間を最小限に短くし、新型コロナウイルスの防疫守則を遵守しながら、ソウル・汝矣島(ヨイド)で行われた。
イ・ジス監督は「私が主に作業する領域は映像音楽作曲の分野だが、新型コロナウイルスにより作業プラットホームがある意味、劇場からグローバルオンライン動画サービス(OTT)に多く移った。コロナの初期に作業していた映画は、未だに公開できずにいるものもあり、現在作業中の作品はOTTの音楽作業が主だ。作業領域が少し変わっただけで、平日には大学で講義を行い、その他は個人の作業室で作品を作るのが日常だ」と述べた。
韓流ブームをけん引したドラマ「冬のソナタ」、映画『オールド・ボーイ』、『建築学概論』などのOSTや、アニメーション作業の中で、イ監督が個人的に最も大事にしている作品が何なのか気になる。
彼は「イギリスのロンドン交響楽団(London Symphony Orchestra)と作業したアルバム『Arirang Concertante』に最も愛情がある。映画や映像の音楽を作業する時は、創作の自由に限界があるが、『Arirang Concertante』のようなコンサート音楽のための作業は、ひたすら自分一人で最初から最後までやりたいことを存分にできる自由があるから。特に最高と評価されるオーケストラやスタジオでのレコーディングは私がこれまで経験した音楽人生で最高の音響と演奏を感じた驚異的な瞬間だった」と振り返った。
このような作業の延長線で最近、“クラシック、壁を壊す”というテーマの作曲依頼を受けた。この楽曲を「ソウル・ヴィルトゥオージ・チェンバー・オーケストラ(Seoul Virtuosi Chamber Orchestra)」(音楽監督:イ・ギョンソン)とともに伝統楽器を駆使しながら披露したことも好評価を受けた。
イ監督はこのような新しい挑戦への力を“空(から)にすること”から得ると明かした。冷静になるために“よい音楽”を探して聴く一般のリスナーとは異なり、彼は休む時間くらいは音楽を聴かず、“空にすること”に集中するという。
彼はその理由について、「私が主に取り組んでいる映画、ドラマ、舞踊、ミュージカルなどストーリーがすでにある程度できている物の作業をする時は、外部からインスピレーションを得る必要がない。作品の中に映像、イメージ、色彩、俳優たちの演技、感情の動きなどインスピレーションの要旨があふれているから。だから休む時は音楽をまったく聴かず、関心も持たないようにしている。実は一瞬一瞬が作業の連続なので休む時だけでも頭を空にしようと、とても努力しているほうだ」と語った。
イ・ジス監督はメディア作業の特性上、機械を上手く扱い、何かを修理することも長けているほうだ」と自負した。また新しい技術や電化製品にも関心が高いほうだが、音楽に関連する分野にだけ関心を持っているため「他の世界のことには慣れないことばかり」だと明かした。自炊生活などもしたことがないため、「料理もほとんどできないし、ファッションや流行にも鈍感なほう」だと説明した。
彼は世界的人気となっているBTS(防弾少年団)や韓国で起きているトロットブームについてはどう考えているのだろうか。
イ・ジス監督は「私が大学生の時、専攻が作曲だったが、一般的に好んで聴く音楽のルーツはほとんどが西洋から来たもの。音楽について語る時、なんとなく我々は片隅にいるような感じだったが、韓国の大衆音楽が世界の注目を浴びているこの瞬間が信じられないほどに不思議だ。これを成し遂げた芸術クリエイターたちの根気や努力、奇抜さや斬新さが本当に誇らしく素晴らしいと思う。このような雰囲気がクラシック、ドラマ、映画、国楽など、どこまで伸びていくのかさらに楽しみだ」と伝えた。
また彼は、トロットや大衆歌謡の作曲に秀でた人材がいるはずだと述べた。そうしながらも秋に聴くのにピッタリな自身の音楽に『オールド・ボーイ』OSTのイ・ウジン(ユ・ジテ)のテーマ曲や、『庭を出ためんどり』のOSTでIUが歌った「Melody of the Wind」を勧めた。
彼は2011年の公開当時、いわゆる韓国生まれのアニメーションとして興行に成功したこの映画について、「通常の映画音楽作曲より大変で、精魂込めなければならない作業だった」とし、「テーマ曲をひとつ作曲するのに、同じ場面を100回は見たと思う。すべてのセリフを覚えて、その場面とセリフが後に夢に出てきたほど」だと作曲過程の難しさを明かした。
これからの作業では韓国的な要素の数々を積極的に活用し、もっと大衆的で、洗練された音楽を作ってみたいとというイ監督は最後に、KBSドラマとの縁を明かした。
イ監督は大学時代、ドラマ「冬のソナタ」(韓国では2002年放送)でピアノを弾く俳優(ペ・ヨンジュン)の手の代役を務めながら、偶然OSTの作曲家としても参加するようになった。最後に さらに「夏の香り」、「春のワルツ」、「ラブレイン」など同じ演出家(ユン・ソクホ)のドラマにピアノの代役や作曲に参加してきたとし、「KBSの新館ロビーが変わってから、初めて来たと思う」と述べ、しばらく思い出に浸ったりもした。

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