ドラマ「イカゲーム」のファン・ドンヒョク監督、「熾烈な現代社会を反映した“K-コンテンツ”は魅力的」
2022年11月01日

「韓国社会が非常に熾烈で躍動的なので、創作物の内容も本当に急速に変化する。熾烈な現代社会の姿と問題点をそのまま反映する点が、高い作品性に加え、韓国コンテンツが世界に愛される理由なのではないかと思う」
アメリカの放送界で最高権威とされるエミー賞の6冠を獲得したNetflix韓国シリーズ「イカゲーム」のファン・ドンヒョク監督は、いわゆる“K-コンテンツ”の魅力を尋ねる言葉にこのように答えた。韓国コンテンツだけの強みがあるというよりは、どこに出しても遜色のない高品質な作品が多く、自然と世界の人々に愛されるのではないかという分析である。
エミー賞の受賞を記念した記者懇談会で「イカゲーム」の制作スタッフはそろって、クリエイターの“自由”と“創意性”を成功の秘訣に挙げた。人為的に“K-コンテンツ”を定義したり、造成したりしようと努力するよりは、クリエイターたちに、より多くの機会を与える制作環境が必要だというアドバイスも出した。
■ 「Netflixがなかったら『イカゲーム』は永遠に作れない」
まだ時差ボケが治っていないとしながらも、トロフィーを掲げる時は、明るい笑顔を取り戻していたファン・ドンヒョク監督。彼は、オンライン動画サービス(OTT)の誕生がなければ、「イカゲーム」も成功できなかっただろうと述べた。10年あまり前、もともと映画の台本として構想していた「イカゲーム」が、当時は異様で現実性に欠けるという理由で韓国の投資者や俳優に断られ、ダメ出しをされたということは、周知の事実だ。ファン監督は「Netflixというプラットフォームサービスが韓国に入ってこなかったら、『イカゲーム』は永遠に作られなかっただろう」と、メディア環境の変化を強調した。
「『イカゲーム』の人気で世の中が本当に変わった」という印象を受けたという制作会社サイロン・ピクチャーズのキム・ジヨン代表も、“プラットフォーム”の重要性を指摘した。韓国に住んでいる人々や、韓国語が分かる人々だけが享受していたひと昔前とは異なり、世界に出ていく“通路”が整い、数多くの人々が韓国作品を理解し好きになれるようになったということだ。
■ 「育成より忍耐心が重要…クリエイターの自由を保障すべきだ」
しかしキム代表は「それよりもっと重要なことがある」と言い切った。韓国ドラマや韓国映画、K-POPという音楽ジャンルまで韓国文化商品に世界の人々が魅了されるのは、断然「韓国コンテンツを作るクリエイターたちの才能と創意性が高いから」ということだ。またそのためには人為的な育成よりは、“チャンス”そして“忍耐心”が重要だと指摘した。
「これまでの経験と照らしてみても、わざと“K-何とか”を作ろうというような意図を持って走っていく瞬間、うまくいかなくなる。むしろ作家たちやクリエイターたちにもう少し、チャンスと忍耐心を与えながら、よい結果が出るまで時間と有・無形の資本を多く投資してあげられる環境を作るのがより重要なのではないかと思う」と述べた。「イカゲーム」以前、映画『天命の城』や『10億』などを制作したキム・ジヨン代表の話だ。
共にエミー賞受賞の喜びを分かち合ったチェ・ギョンソ美術監督も、「わが国の創作文化人たちには“自由”がとても重要だと思う」と、現場の声を聞かせた。ファン・ドンヒョク監督の信頼と、Netflixのサポートのおかげで無限な創作機会と自律性を得て、そのおかげでよい結果が出たようだという説明だった。
チェ監督は「『イカゲーム』を作業しながら、一番多く試したのは、新しいものを一度作ってみようということだった」とし、「韓国的な色感や空間を作ろうというよりは、台本の中にあるものを別の方法でアプローチしようとした」と強調した。
■ 「『イカゲーム』が成功してスルメが食べられない…?当分の間執筆にまい進する」
会見場を埋め尽くした韓国内外の取材陣からは後続作品に対する質問も殺到した。
ファン・ドンヒョク監督は、今後の計画を考えるだけでも「歯が揺れて、心身が崩れ落ちるような感じ」と笑った。シーズン1の大成功で感じた最大の変化として、「歯がとても傷み、好きなスルメが食べられなくなった」と述べ、場内を笑わせたりもした。
ファン監督は、「イカゲーム」の次のシーズンの台本を書いているとし、来年に撮影を始め再来年頃に公開できるのではないかと明かした。次のシーズンの背景も韓国人であるため、有名外国人俳優のサプライズ出演はないだろうと話した。
エミー賞の受賞でプレッシャーがより大きくなかったかという質問には、「プレッシャーは一生友だちのように背負っていくもの」と答えた。さらに「『イカゲームシーズン1』も言葉にならないほどのプレッシャーを背負ってつくった。時には大きな原動力になるので、むしろ自らプレッシャーを感じようとしている。受賞の感想を話す時もわざと、“これが最後のエミー賞ではないことを願う”と述べ、自分に大きなプレッシャーをかけた」と述べた。
ファン監督はすでにシーズン2でエミー賞はもちろん、ゴールデングローブや全米映画俳優組合(SAG)賞の舞台に立ってみたいと抱負を明かしたりもした。「イカゲーム」を撮りながらお互いに「エミー賞に一度行ってみよう」と冗談のように交わしていた言葉が現実になり、あぜんとしている制作スタッフたちが、果たして次の目標もかなえることができるのか見守らなければならない。
