映画『Riceboy Sleeps』、マナダに移民した韓国人母子の物語
2023年04月05日

息子“ドンヒョン”と共にこの世に残された“ソヨン”は1990年、すべてが慣れない土地、カナダへと移民する。
彼女は、工場で働きながらドンヒョンを育てるが、アジア人がほとんどいない場所での生活は容易ではない。工場で性的嫌がらせをしている男に対して堂々と警告するなど強い姿を見せていても、学校で「目が裂けた子」とからかわれる息子を見て胸を痛める。
9年という時間が流れ、ドンヒョンはいつの間にか青少年となり、今は母親より友だちと付き合うほうが楽な子どもになる。ソヨンは息子と感情的に離れ、体調を崩すと、これまで忘れて過ごしていた特別な旅行をドンヒョンに提案する。
映画『Riceboy Sleeps(英題)』は、新しい人生のために異国の地に移り住んだ韓国人の母親と息子の物語だ。限りなく切ない韓国人母子家庭、移民者として経験する差別、現実と本来のルーツに対するアイデンティティの混乱が繊細に描かれている。
映画は、カナダと韓国の江原道(カンウォンド)を背景にしている。16ミリフィルムカメラに映った風景はフィルム特有の質感を生かし、作品を見る者に郷愁を与える。それは、日常で忘れて過ごしていた母親に対する記憶であり、心の片隅に静かに定着している幼い頃の家に対する思い出だ。
映画は、作品の中のドンヒョンのように幼い頃、カナダに移民したアンソニー・シム監督の半自伝的な話を基にしている。
シム監督は、成長過程で異邦人扱いされ、韓国人であることを表に出すことが恥ずかしがったが、同時に韓国的なことに関する好奇心が自分の中で育っているということに気付いたという。
父親が亡くなった後、自身の幼い頃をよりはっきりと振り返るようになり、韓国人でありカナダ人として、衝突する文化の中で育った自分が誰なのか見つめることができた。
シム監督は、低予算映画である『Riceboy Sleeps』の演出はもちろん、脚本、制作、編集、俳優の“1人5役”を担当。彼は作品の中でソヨンに求愛する韓国人養子出身の職場の同僚役をこなした。
彼は最近、マスコミ試写会および懇談会で、「幼い頃、ハリウッド映画をたくさん見て育ったが、このような映画の中でアジア人女性は静かで弱く描写されたり、あるいはカンフーをするなど別のスタイルの存在として登場させられたりする」とし、「強いが弱くもあり、子どもと家族のために犠牲になる(韓国人女性)の姿を見せたかった」と説明した。
母親のソヨンは、新人俳優のチェ・スンユンが務めた。舞踊家出身のチェ・スンユンは、長編映画デビュー作であるにもかかわらず、感情演技が安定的でしっかりしている。
『Riceboy Sleeps』は、トロント映画祭で「2022最高のカナダ映画」に選定されるなど、世界の映画祭と批評家協会から好評を得た。
チェ・スンユンは同日の懇談会で、「この小さな独立映画が、世界の映画祭で上映され、観客に出会えるなんて不思議ながらもうれしかった」とし、「韓国の観客の方の前に立った今が一番緊張してとても感謝している」と公開を控えた感想を伝えた。
映画『Riceboy Sleeps』は4月19日に韓国で公開される。上映時間は117分で、年齢制限は15歳以上観覧可だ。
