キム・ソニョン主演映画『ドリームパレス』、労働災害遺族のストライキを離れマンションを選んだ女性を描く

2023年05月19日

リビングに押し寄せる明るい日差しと4人用の食卓、広々としたキッチンと各自の部屋まで。誰もが夢見るような“私名義”のマンションに、ヘジョン (キム・ソニョン)が入居する。しかしなぜかうれしそうに見えない。このマンションが夫の命の値段であり、同志たちの手を引いた代価であるためだ。
ヘジョンの夫は謎の労働災害で数年前に死んだ。ヘジョンをはじめとする被害者遺族は、会社側に真相究明を要求して、テントのストライキをする。争いは長くなり、ヘジョンはだんだん疲れていく。労災責任がヘジョンの夫にあるかもしれないという遺族たちの疑いまで大きくなり、ヘジョンは結局会社と合意する。その補償金で買ったのがこのマンション。ここはヘジョンにとって安息所になれるだろうか。
映画『ドリームパレス (原題:드림팰리스)』は、夫を失くして買ったマンションを守ろうとする2人の女性の奮闘を描いた作品。マンションの売れ残りの事態と労働災害という、一見ひとつの映画に縛られにくく見えるふたつの社会問題を同時に扱った。『ヌロンイたち (原題:누렁이들)』(2017)などの短編を披露したカ・ソンムン監督の初の長編映画。
マンションでヘジョンの暮らしは順調ではない。高校3年の息子ドンウク (チェ・ミニョン)は合意のハンコを押した母親が理解できず、ずっと不満を言い続ける。同じ事故で夫を失ったスイン (イ・ユンジ)はヘジョンを裏切り者扱いする。夫と遺族を裏切った罰でもいいのか、水道からはずっとサビが出て困らせる。
スインも持ちこたえた挙句、結局会社と合意する。ヘジョンのすすめで同じマンションを契約し、新しい人生を夢見る。しかし彼女の夢は同じマンションの入居者のバリケードに遮られる。建設会社が売れ残りの事態を解決するために、安値でマンションを売ったという事実を知った隣人たちが一丸となり、彼女が引越しできないように阻止したのだ。
ヘジョンもまた入居者の敵ではある。アルバイトとしてマンションの割引分譲チラシと垂れ幕を貼ったのが災いとなった。施工会社のインセンティブを約束され、スインにマンションを紹介した事実まで明るみになり、ヘジョンは完全に疎外される。
しかし映画では、実際にこのすべてのことを引き起こした人々は見当たらない。事故を予防しなかった2人の女性の夫の会社や、分譲価格の割引を断行した建設会社の経営陣はまったく姿を見せない。同じ境遇である“乙”たちが戦う隙に、責任者たちは自然に忘れられる。
カ・ソンムン監督は最近、試写会で「葛藤は責任を負わなければならない人はこれを放棄し、残った者同士戦う姿を通じて、“ヴィラン (悪党)”は別にいるということを言いたかった」とし、「我々が自分の隣の人だけを責めているのではないか、社会問題がなぜ生じるのかを調べようとした」と説明した。
キム・ソニョンとイ・ユンジの現実的な演技はストーリーに力を添える。立場も異なり、それぞれ違う選択をするが、2つのキャラクターとも理解できるのはこのためだ。特にヘジョンとスインが真夜中に防犯窓をはさんで対話する場面がハイライト。誰も声を荒げないが、抑えてきた感情を静かに爆発させる。
キム・ソニョンは「(不条理に対する) 闘争を諦めた人々の人生に深くスポットライトを当てた作品であり、響きが大きかった」とし、「40代女性の描写があるシナリオに出会い、とてもうれしかった」と、この映画に参加することになった理由を説明した。これに先立ち、彼女はこの映画で「第20回アジアンフィルムフェスティバル」で女優主演賞を受賞した。
映画『ドリームパレス』は31日に韓国で公開され、上映時間は112分、年齢制限は12歳以上観覧可。

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