映画『密輸』出演の俳優パク・ジョンミン、「初めて演じた悪役…10キロ増量して故郷のおじさんのように」

2023年07月26日

「少し驚いた。僕はこんな役を演じたことがないのに…一体、僕のどんな姿を見て、この役を任せたんだろう?と思った」
最近、ソウル・鍾路(チョンノ)区のあるカフェで会った映画『密輸(原題:밀수)』の主演俳優パク・ジョンミンは、リュ・スンワン監督から出演のオファーを受けた当時を振り返りながらこのように述べた。
彼は、密輸犯罪に飛び込んだ海女たちの話を描いたこの映画で、ヤクザの“チャン・ドリ”を演じた。自分の面倒を見てくれた海女の“ジンスク”(ヨム・ジョンア)を裏切った代価として、海辺の都市クンチョンの密輸場を掌握する組織のトップになる人物だ。
しかし臆病で、器が小さい生まれつきの性格は変わらない。全国区の“密輸親分”と呼ばれる“クォン上士”(チョ・インソン)の前では縮こまり、義理なく色々な人を裏切るのは日常茶飯事だ。明らかにあくどい人物だが、カリスマとはほど遠い姿とポンポン吐き出すユーモアあふれるセリフで笑いを誘う。
パク・ジョンミンは「チャン・ドリは型にとらわれない人だと思って演じた」と述べた。
「『密輸』に出てくる人の中で、リュ監督の“うまみ”を一番よく生かせるキャラクターだとも思った。監督がしきりに指示したことは、幼い頃、故郷で見たおじさんのように演じてほしいということだった。頭で考えるのではなく心から出る言葉をただ言う人というか…(笑)」
彼は、チャン・ドリ役をこなすため、外見も破格的に変えた。10キロ以上増量して体重を80キロにし、頭はブロッコリーのようなボコボコヘアーにした。
「変わった僕の姿を見てとてもウキウキした。仮面をひとつ被ったような感じというか。普段の僕の顔ではないから、劇中でどんな行動をしても納得できる。演技の許容範囲を広げてくれた感じだった」
しかしキム・ヘス、ヨム・ジョンア、チョ・インソン、キム・ジョンスなど、そうそうたる先輩俳優たちがたくさん出演するせいか、緊張もあったという。撮影の序盤は、演技で思い悩むこともあったと彼は打ち明けた。
「とにかくオーラとエネルギーがすごい先輩たち。僕がそれを半減させてはならないと思った。僕の演技が下手だったり、相手の演技をうまく切り返せなかったりしたらどうしようと心配もした。特に“チュンジャ”(キム・ヘス)、“ジンスク”、クォン上士とナイトクラブで対面するシーンでは、先輩たちの目力が本当に圧倒的だった。この中を僕がかき乱さなければならないのに、(そうすることができず)最初は、戸惑った」
彼の心配とは異なり、キム・ヘスは「これから、チャン・ドリよりも素晴らしい役を見るのは難しそうだ」と、パク・ジョンミンの演技を高く評価したという。
パク・ジョンミンは「感慨無量でありがたい」としながらも、普段恥ずかしがり屋の性格のせいか、「褒められると恥ずかしくて逃げたくなる」と笑った。
しっかりとチャン・ドリ役をこなしたが、実はどんな役かも分からないままキャスティングを受け入れたという。シナリオを読むどころか、作品の説明もまともになされていない状態だった。
「ある日、監督から電話が来て『密輸に関する話なんだけど、やってみる?』と言われた。ただ即決した。リュ・スンワン監督の映画なら何でもしようと思っていたからだ。もともと監督のファンだったが、短編『幽霊(原題:유령)』(2014)を撮ってから、さらに好きになった」
パク・ジョンミンは映画人を夢見ていた高校時代、リュ監督の『ダイ・バッド 死ぬか、もしくは悪になるか』(2000)の熱狂的ファンだったという。リュ監督の新作が出るたびに必ず劇場を訪れて観覧し、2回、3回繰り返して見るほどだった。
彼はリュ監督の他にも、イ・ジュンイク、パク・チャヌク、ハン・ジェリム、ウ・ミンホ、シン・ヨンシク、ユン・ソンヒョンなど忠武路(映画の街として有名)を代表する監督たちと何度も呼吸を合わせた。独立運動家からトランスジェンダー、反抗期の少年、天才的頭脳を持った人間まで、担ってきた役柄も多様で、助演や端役も選ばなかった。
パク・ジョンミンは「監督たちのオーダーを忠実にこなすため、僕を選んでくださるのではと思う」と謙遜した。
「受動的なことのように感じられるかもしれないが、自分で短編『UNFRAMED/アンフレームド』を演出してみて分かった。俳優が驚くべき点を見せることも重要だが、監督が望むことを俳優が正確にやる時、快感があるということを。監督の指示を正確にこなせる俳優だという言葉が、僕にとっては最高の褒め言葉だと思う」

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